年末の大掃除の際に本棚(漫画棚)を整理していて久し振りに読み返しました。私がこれを知ったのは高校時代友人に勧められたのが切っ掛けだったのですが、既に完結して何年か経っていたため、全巻揃えるのに苦労しました。
そんなわけで、かなり古い作品です。今の人たちが読んでもわからないところとかあるんじゃないでしょうか…。あと、同性愛に対する認識が当時と今ではだいぶ変わっているなと思います。
久し振りに読み直しましたが、やっぱり面白かったです。「青春」ってすばらしいですね。こんな学生生活だったら本当に楽しいだろうな、と羨ましくなります。基本的には気楽に笑いながら読める作品ですが、シリアスなお話はかなり印象的。
今回は、グリーンウッドの中で特に好きなエピソードやセリフなどを挙げてみようと思います。
■ 雨やどり
光流と忍の過去話。それまでとは全然違う、かなりシリアスな内容で、初めて読んだ時は重い気持ちになりました。光流より忍の方が大人っぽいように見えて、実は光流の方がずっと精神的に成熟しているし強い。忍の「天上の人たちは下界からの願いを無視しつづける」という言葉が好きです。それに対する光流の「世の中は不公平でもおまえが心配してるほどは悪くないって」がすごく優しい。
■ 蓮川家の一族
蓮川が義姉すみれに対する気持ちを吹っ切る話。蓮川の「仕事とか…見た目とかすぐ見えるとこでわかんなかったら おまえがどんな奴かなんて 他の奴にはわかんないんだぞ…!!」が、一弘への気持ちの強さがはっきり出ています。落ち込む蓮川を厳しい言葉を掛けながらも励ます瞬が好きです。
■ 王子様を探せ!
光流の出生のこと、忍と手塚家の長兄旭と六条倫子の関係など。光流の弱点を暴こうとして、思わぬ事実を知ってしまった蓮川のやり場のない気持ちにざわざわしました。光流の秘密(別に隠していたわけでもなかったらしい)を知った時の蓮川と瞬の違いが興味深いです。
好きなセリフ「信じられないよな 蓮川 生まれてすぐに”いらない”っていわれた奴が どうしたら あんなに 強くいられるのかー」忍の光流に対する正直な気持ちなんでしょうね。
あまり関係ありませんが、旭と倫子の話は「青い目さん」という童話がモチーフになっています。この童話は結構インパクトの強いお話で、私も幼い頃読んで怖かった気がします。これについては、また別の機会に語りたいです。
■ 蓮川と五十嵐の出会い(「あーらしを、おーこして」~「片想いかもしれない」)
光流の後輩のヤンキー少女が登場。本作のヒロインです。ラストで危機に陥った時に、瞬と忍が助けてくれるシーンがめちゃくちゃ好き。グリーンウッドのみんなだけでなく、お姉様まで登場して、圧巻でした。頭を使えという二人がいいです。
■ リトルショップ・オブ・GW
青木と坂口メインのお話。ものすごく自由な二人で、こういう関係って羨ましい。この二人の将来も気になります。ネタ的には懐かしすぎる。
■ 子曰く(しのたまわく)
学生であることを強く感じるエピソード。これも今の時代だと合わないかもしれませんね。
■ ナイト・メア
忍の特殊能力(?)が発揮されます。光流の「…おまえ… その方面の才能のばしてみたら?」が面白かった。
■ 愛は勝つ
前半は光流の家族愛、後半は蓮川の恋愛がテーマとなっています。光流の「やっぱり 他人は兄弟より おちるかな」の言葉が切ないです。これについてははっきりとした答えは出されていません。それでも、光流が帰る家はちゃんとあることに安堵します。池田家は本当に優しい人たちです。
蓮川がとうとう手に入れたハッピーエンド。学園中で祝福してくれるなんて、蓮川は本当に幸せ者です。羨ましいくらいの青春エピソード。たぶん一番好きなお話です。ライバルの小泉典馬の性格が強烈でした。五十嵐のことを大切にしているのは間違いないんですけどね…。彼の今後が気になります。アニメ版もすごくよかった。
■ ホリデイ
光流と忍のお話。こんな感じでずっと二人でやっていきそうです。二人とも就職するより、自分たちで何かする方が向いていると思います。
彼らの日常がずっと続いて欲しい、終わらないでほしいと思ってしまうような寂しさを感じました。
中盤からのエピソードが多いですが、1巻から大いに笑えます。特に、渚さんが登場するところや、文化祭・体育祭関係は面白いです。回を重ねるごとに忍がどんどん面白くなっていきます。
瞬が忍について「忍先輩?神様みたいな人だよー♡ 何でもできるくせにタダじゃなーんにもしてくれないとこなんかもうそっくり!」と言うところがあるのですが、このセリフが妙に印象的でした。先の<雨やどり>のセリフもそうですが、<神様>に対する捉え方が核心を突いているなと。
作中のセリフとは違いますが、イメージアルバムの中に収録されている「あしたの天気」という光流と忍のデュエット曲があります。歌詞で「あしたそらからふるものが せかいじゅうをぬりかえても」というところが好きでした。もうずいぶん昔に聴いた歌なのですが、今でもそこだけははっきり覚えています。この言葉に得体の知れない不安を感じました。特に今、たった1年半くらい前と世界が全然変わってしまったせいか、この歌詞をよく思い出します。この歌は原作者の方が作詞されているせいか、キャラソンとしてものすごくしっくりきます。言葉選びが秀逸だと思います。