レアンダー童話。たぶん一般的に知られているのは「青い目さん」…くらい?
私の持っているのとは、表紙がちょっと違います。イラスト自体は同じなんですが、彩色が違うため、かなり雰囲気が変わって見えます。自分の持っている方が好き。
ものすごく簡単な感想。
■ ふしぎなオルガン
表題作。傲慢なオルガン職人が改心する話。間に合わなかったけれど、救いはあった。
■ こがねちゃん
幼児目線のかわいらしい話。親にとってはたまったものじゃないだろうが。
■ 見えない王国
自分たちにとって素晴らしい世界なら、他の人の目なんて関係ない。
■ 悪魔が聖水のなかに落ちた話
聖水によって穢れた(?)悪魔を悪魔流の方法で清める(?)話。
■ 錆びた騎士
神さまに罰を与えられた傲慢な騎士が赦される話。苦労をしたのは妻の方。
■ コショウ菓子の焼けないおきさきと口琴をひけない王さまの話
夫婦喧嘩と仲直りのお話。
■ 魔法の指輪
客観的に価値のない物でも、持ち主次第では素晴らしい価値を持つ場合もある。逆も然り。
■ ガラスの心臓を持った三人の姉妹
三番目のお姫さまと結婚するためにガラス職人になった貴族の話。二番目のお姫さまの後日談が好き。
■ 子どもの話
墓場で遊ぶ二人の子どもの他愛無いお話かと思いきや…。
■ ゼップのよめえらび
母親に嫁を選んでもらう話。幸せになったのであれば良かったのでしょう。
■ 沼のなかのハイノ
タイトルをずっと「青い目さん」だと思っていました。親の策略で恋人のことを忘れて沼の女王に囚われてしまった王子さまが、恋人の<青い目さん>により助け出されて結婚する話。初めてこれを読んだ時はまだ子どもだったので、めちゃくちゃ怖かったです。暗くて怖いけど、美しいイメージの作品。
■ 不幸鳥と幸福姫
不幸を一身に背負った若者が幸福を身に纏ったお姫さまと結婚する話。王さまは複雑なのでは…。いきなりどこの馬の骨とも知れない若者が後継ぎになるなんて。
■ 若返りの臼
世の中そんなに上手くいくわけがない。誓約(?)を破ったらどうなるんだろう。
■ カタカタコウノトリの話
気まぐれなコウノトリの話。金持ちの百姓、何も悪くないんだけど…。
■ クリストフとベルベルがじぶんから望んで、ひっきりなしにゆきちがいになった話
タイトル長っ。神さまの失敗。恋人同士のことに首を突っ込んではいけない。
■ 夢のブナの木
無心で眠ればすてきな正夢を与えてくれるブナの木。ブナの木のおかげで幸せになった男性が夫婦喧嘩をして仲直りをする話。
■ 小さなせむしの少女
背中のコブに入っていたのは天使の翼。優しいお話。
■ 小鳥の子
意地の張り合いで夫婦喧嘩をして仲直りをする話。
■ 天の音楽
二度と奏でられない…かと思ったらそうではなかった。
■ 天国と地獄
本当の地獄とは。自分の罪に気が付くことが出来れば赦される。
■ 古いトランク
汚らしいトランクの中に隠された秘密。この作品が最後、というのが面白い。
久し振りに読み直しましたが、印象深かったのは「ガラスの心臓を持った三人の姉妹」「沼の中のハイノ」「小さなせむしの少女」「天国と地獄」あたりでしょうか。本当に久し振りすぎて、一部の作品は完全に忘れていました。
この童話集は、バッドエンドがありません。罪は赦されるし、哀しい人生を歩んだ人にも幸福はやって来ます。なので、読んでいて優しい気持ちになれます。あまり説教じみた感じではなく、全体的にコミカルなので読みやすいと思います。そんな中で異彩を放っていた「沼のなかのハイノ(青い目さん)」。じっくり読むと、やっぱり怖い。
