びんのなか

想い出話や感想文など。読書メモが多め。ネタバレだらけです。

漫画語り 緋色の椅子(緑川ゆき)

 この間「夏目友人帳」の最新刊を買いました。今回は中途半端なところで終わっていたので、続きが気になります。次の発売が来年初春らしいです。回収されていない伏線がかなりあるので、完結までにはかなり時間が掛かりそうですね。

 

 私は小説にしろ漫画にしろ、面白いと思ったら同じ作者の作品を読み漁る傾向があって、「夏目友人帳」も「あかく咲く声」を読んで気に入ったのがきっかけです。偶々書店で何気なく表紙とタイトルを見て買っただけですが、昔は大体そんな買い方をしていました。<緑川ゆき(以下敬称略)>の作品は全部持ってると思います(たぶん)。

 一番好きなのは「緋色の椅子」です。辺境の村に住む主人公の女の子(セツ)が、王として迎えられて去った幼馴染の男の子(ルカ)に会いに王都へ行ったら、そこにいたのは別人だった―という話です。

 セツと陛下(偽王の少年。終盤に本名が判明)は行方不明のルカを探し求めるわけですが、このルカという少年が謎に包まれていているのです。彼が何を考えていたのか。セツも陛下もルカのことが何よりも大切で、でも彼のことを実はよく知らなかったことがわかります。彼の本心が最後に明かされますが、それはとても悲しい考え方だと思いました。ルカに限らず、色々な人々が抱える悲しさが交錯していて、ことの発端自体も遣り切れないものがありました。特に協力者として登場するドリィはかわいそうでした。もう一人の協力者として登場するクレアは、きっともうセツと交わることはないのかと思うと、それもちょっと切ないです。きっと一番大変ものを背負ったのはクレアでしょう。最後、セツと陛下(元)が新しい一歩を踏み出していく感じで終わったのがよかったです。

 ストーリーも好きですが、主人公のセツをはじめ、メインキャラに嫌な人がいなかったのも、好きな理由です。セツはバランスのいいキャラだったと思います。無鉄砲なところはあるけど、ちゃんと自分の力で切り拓いていくまっすぐな子でした。あまり「女の子らしさ」がなくさっぱりしたところがよかったです。彼女のひたむきさはちょっと切なかった。

 

 あと「蛍火の杜へ」も好きです。これはもう…ラストが悲しくて。優しくて切ないお話が多いですね。妙に印象的だったのは、コーヒーか何かを飲んだら運動能力が飛躍的に上がる少年の話や、花を食べる少年の話。緑川ゆき作品は独特な空気感やストーリー自体も好きですが、登場人物たちの冷めたつっこみが結構ツボです。

 

 最近は漫画を買うこともほとんどなくなってしまい、無料の漫画サイトで読んでいます。似たようなジャンルの漫画が多くて驚きましたが、その中で自分の好みのものを見つけるのも楽しいです。

 あまり漫画は買っていないけれど、それでもじわじわ増えてきているのでそろそろ片付けないと…;本棚に置ききれなくなってる。