びんのなか

想い出話や感想文など。読書メモが多め。ネタバレだらけです。

ナルニア国物語 感想まとめ(1)

 7巻それぞれ感想を書いてみましたが、シリーズ全体を通して思ったことをつらつらと。

 長いので折りたたみます。

 

 <キャラクターについて> 

■ ピーター

 王の中でも「一の王」という特別な存在。みんなのまとめ役だけあって、しっかり者。強く賢い、英雄タイプ。統率力に優れている。もとから自分の過ちを認めることができ、ある程度完成された人物だと思う。そのせいか彼自身が成長するという過程はほとんどなく、どちらかというと第三者視点で描かれていることが多い。個人的にはもう少し活躍してほしかった。ナルニアとは早い段階で別れたため、そこまで引き摺られることはないものの、そこで得たものを忘れることなく、好青年へと成長した模様。父親が大学教授ということで、彼の性格上きちんと勉強して大学へ進学したと思う。

■ スーザン

 シリーズ中、もっとも扱いの悪い人。「ライオンと魔女」の頃は、どちらかというと優しくて聡明なお姉さん、といった印象だったのに…。「ライオンと魔女」の感想でも書いたが、ルーシィとは決定的に考え方が違う。真実から目を逸らしてしまう(考え方が甘い)キャラクターというのはシリーズ通して一貫しているのかも。彼女は、シリーズが進んで行くうちにどんどん世俗的なことに興味を抱き、楽しいことを優先するように描かれている。読み手にとっては寂しく感じるが、現実世界で考えるとスーザンみたいなタイプの方が普通なのではないか。彼女は「堕落」したキャラクターとして、物語の中では重要な役割を持っていたと思う。

■ エドマンド

 知性派。「ライオンと魔女」の頃は、いじわるでずるい自己中心的なキャラクターだったが、改心後は非常にバランスのいいキャラクターとなったと思う。兄のよきサポート役で、ルーシィのよき理解者。スーザンとはあまり絡みがない気がする。現実世界にやや否定的な感情をもってはいるものの、理想と現実の違いを理解しているため、問題はなさそう。兄妹で一番勉強ができそう。

■ ルーシィ

 シリーズ前半の主人公(だと思う)。可愛らしくて純粋。末っ子のためか、ずっと幼いイメージだった。たぶん一番アスランへの依存度が高い。エドマンドがピーターを慕っていたのに対して、ルーシィとスーザンは成長とともに距離が開いていく。「朝びらき丸東の海へ」では、嫉妬や疑念などの負の感情を抱くという大人へと近づいた描写があるが、それは人間の成長としては当たり前のもの。ただ、現実世界はルーシィにとって少し生きづらいところだったのではないかと思う。

■ ユースチス

 シリーズ後半の主人公(だと思う)。エドマンドに輪をかけて厄介なキャラクターだった。あくまでも普通の少年のイメージ。冷静で分析力に長けていると思う。友達思い。

■ ジル

 ユースチスの友人。ユースチスと同様、普通の子。初めの頃は自分勝手なところがあったが、正義感あふれる勇敢な少女へと成長。一番気が強い。

■ ディゴリー(カーク先生)

 好奇心旺盛。あまり思慮深くない。一番主人公的なキャラクターだと思う。大人になってもずっと少年の心を持ち続けている人。有名な学者の先生になった。

■ ポリー

 ディゴリーの友人。ディゴリーとは対照的に思慮深くてしっかり者のイメージ。しかも友達思い。二人はお互い結婚することなく、独身だったらしい。ユースチスとジルはまだ子どもなので分かるが、ディゴリーとポリーの関係は不思議。仲が良いからといって、すべてが恋愛に結び付くわけではないだろうけど。物語の都合上の問題だろうか。

■ アスラン

 シリーズの絶対的存在。ナルニアの救世主。創造主、導く者。厳しさと優しさを併せ持つ。ナルニアに危機があると、人間界から子どもを召喚して世界を救うよう導く。

 

<キャラクターの年齢設定について>

 作中特に記載がなかったため、詳細は不明。

■ ライオンと魔女

・ルーシィとエドマンドは1つ違い。

・ピーターとスーザンも1つ違いくらい(予想)。

・印象としては、年長組と年少組の間には2つ以上の年齢差がある。

■ カスピアン王子の角笛

・前作より1年後。ルーシィは寄宿学校1年目。←て何歳?ちょこっと調べたらイギリスの義務教育は5~16歳までらしい(現在は18歳までだそうです)。

・ピーターとスーザンは年齢の関係でナルニアへ来るのは最後。

・カスピアンは少年。ピーターと同じくらい?

■ 朝びらき丸東の海へ

・ピーターは試験のため猛勉強中。

 何の試験であるかは不明だが、ピーターはもう少しで義務教育を終える年齢であるとすれば、この時点で15~16歳くらい?

・スーザンは親が彼女に勉強について期待するのを諦めた。

エドマンドとルーシィはナルニアへ来るのが最後となった。

・ユースチスは再び来る可能性が示唆されていたため、ルーシィより年下。1~2歳くらい?

ナルニアの世界では前作より3年経過。現実世界では1年経過

・カスピアンはルーシィより「いくつか」年上。つまり、まだ少年といえる年齢。

■ 銀のいす

・ユースチスが先学期と今学期で人が変わったようだと周囲に思われていること、前作について「休みの間のできごと」としていることから、数か月以内の経過だと思われる。…それだけしか時間経過がないのであればルーシィたちはまだナルニアへ行けたのでは?と思えなくもない。年齢はともかく、学年が変わったとか?

■ さいごの戦い

・チリアンは20~25歳くらい。

・ピーターはチリアンよりは年下。「すっかり大人になりきってはいない」。ということは18~20歳くらい?(→イギリスの成人年齢は18歳だそうです。ただし、1969年までは21歳が成人だったらしいです)。

・ピーター・エドマンド→若者、ルーシィ→少女、ユースチス→男の子、ジル→女の子

・ユースチスとジルだけが「まだ学校に行っている」。←義務教育のこと?としたら、この時点での2人の年齢は15~16歳?

・スーザンがナルニアへ行ったことを「子どものころの遊び」とものすごい昔話みたいに考えている。

「銀のいす」から1年以上経過。上記より、1年どころではないと思う。

 

□ 上記より予想してみた

ライオンと魔女

ピーター:14 スーザン:13 エドマンド:11 ルーシィ:10

カスピアン王子の角笛

ピーター:15 スーザン:14 エドマンド:12 ルーシィ:11

【朝びらき丸東の海へ】

ピーター:16 スーザン:15 エドマンド:13 ルーシィ:12

ユースチス:11

【銀のいす】

ピーター:16 スーザン:15 エドマンド:13 ルーシィ:12

ユースチス:11 ジル:11

【さいごの戦い】

ピーター:21 スーザン:20 エドマンド:18 ルーシィ:17

ユースチス:16

 

 イギリスの教育制度について調べてみましたが、日本とはだいぶ違っていてよくわかりませんでした。初等教育が5~11歳、中等教育が11~16歳とあったので、いくら何でも5歳から寮生活はないだろうと思い、それじゃあ寄宿学校は11歳くらいからかなと勝手に解釈しました。そんなわけで、ルーシィ(とユースチス)の年齢を基準に他のキャラクタ―の年齢の整合性をとった結果、上記のような予想となりました。ペベンシー兄妹については1~2歳予想より年下の印象です。ユースチスたちも「さいごの戦い」の時点では15歳くらいの印象。

 

  こういうところはあまり気にせず読んだ方がいいのかもしれません。敢えて具体的な年齢を示さなかったとも考えられるし。

 

 思った以上に長くなったので、次回に続きます。