びんのなか

想い出話や感想文など。読書メモが多め。ネタバレだらけです。

ナルニア国物語(1)ライオンと魔女

 先日ナルニア国物語全7冊を読み終わりました。

 我が家にあるのは岩波から出版されている瀬田氏の翻訳版です。他の方の翻訳のもあるみたいですね。子どもの頃は文体が苦手で、始めのあたりで読むのをやめてしまったのですが、今読むとあまり気になりませんでした。

 「ライオンと魔女」について。私の持っている本と表紙の絵が違う。

ライオンと魔女―ナルニア国ものがたり〈1〉 (岩波少年文庫)

ライオンと魔女―ナルニア国ものがたり〈1〉 (岩波少年文庫)

 

ーあらすじー

 ペベンシー兄弟がナルニアへ行って冒険するお話。かくれんぼで衣装ダンスに隠れたルーシィは冬の異世界へと迷い込みます。そこでフォーンのタムナスさんと出会い、もてなされます。そこで、その世界がナルニアであること、魔女のせいで冬が終わらずクリスマスもやってこないことを知ります。タンスから元の世界に帰ったルーシィですが、まったく時間が経過しておらず他の兄姉にナルニアの話をしても信じてもらえません。それから下の兄のエドマンドもナルニアへ行き、自らを女王と名乗る魔女に会います。彼女はエドマンドに美味しいお菓子を与えて、他の兄妹を連れてくるよう唆します。

 その後兄妹4人ともナルニアへ行くのですが、ルーシィの友人のタムナスさんは魔女に捕まった後でした。それからビーバー夫妻とともにアスランと合流するため石舞台へ向かうことになります。その間エドマンドは裏切って魔女の下へ一人で向かいます。魔女の城にはたくさん石像がありました。それらは彼女の魔法の杖で石化したナルニアの住民だったのです。女王は他の兄妹を連れて来なかったエドマンドに怒りを向けたのでした。

 魔女の追ってから逃げている最中に一行はサンタクロース(!)に出会い、戦うための贈り物をもらいます。ピーターは剣と盾、スーザンは弓矢と角笛、ルーシィは薬瓶と短剣です。サンタクロースが現れたのは魔女の力が弱まり、冬が終わろうとしていたからでした。一方のエドマンドはとても惨めな扱いを受けていて、怒り狂った魔女に連れ回される羽目になります。

 石舞台にてアスランと合流した後、エドマンドを助けるためにアスランは自らを魔女に捧げ、敵に散々いたぶられた後殺されてしまいました。その場面を見てしまったスーザンとルーシィはひどく心を痛めます(殺される瞬間は見ていないです)。

 ピーターとエドマンドが魔女の軍勢と戦っている間に、アスランは復活しスーザンとルーシィとともに魔女の城で石化した者たちを助けに行き、ピーター達と合流します。そして、魔女との戦いに勝ち、ナルニアに平和を取り戻したのでした。

 ナルニアの王・女王となり、大人になった彼らはある日4人で白鹿を追っているうちに、元の世界に戻ります。すると時間は経過しておらず、彼らは子どもの姿に戻っていました。

 

ー感想ー

 まさか大人になるまでナルニアで過ごすとは思いませんでした。何の疑いもなく王様・女王様となりナルニアを治めますが、帰りたいとか思わなかったのでしょうか。ナルニアで過ごすうちに故郷のことは忘れてしまったようです。帰還もうっかり元の世界に戻ってしまった感じだったし。

 印象に残ったシーンはアスランが敵にいいようにされた挙句殺されてしまうところ。気高いライオンが毛を刈り取られるところは読んでいてつらかった。その分、復活した時は「ええっっ!?」と思いましたが。あと、サンタクロース。何となく違和感を覚えます。しかし、プレゼントが戦いのアイテムってすごいな。雪解けのあとも懸命にそりを走らせる魔女が面白かったです。

 ルーシィとスーザンがアスランが犠牲になったことをエドマンドに話すかどうか言い合っているとき、二人の考え方の違いが興味深いです。自分のしでかした罪の重さを知るべきだというルーシィと、知ることで傷つくのは可哀そうだから教えるべきではないと考えるスーザン。この2人の違いが、先の物語での行く末の違いになるのかなあなんて思ってみたり。結局エドマンドに話したかどうかについては書かれていませんでしたが、たぶん話したんじゃないかと思っています。というのは、エドマンドが「正義王」であり、自分の罪を受け止めるだけの強さをもっていると思うからです。

 ナルニア国物語はどれも登場人物の成長が描かれていて、今回人間的に大きく成長するのはエドマンドでした。他の兄妹は子どもとは思えないくらいできた人間です。ピーターはすごくしっかりしたお兄さんといった感じで、特にナルニアでは本当にいくつだよというくらい大人びていました。逆にエドマンドはルーシィと別の意味で幼い感じでした。スーザンは優しくて聡明なお姉さん、ルーシィは無邪気で素直なかわいい女の子です。

 この巻でのアスランは一応救世主的存在なのですが、とても身近な存在として描かれていました。距離が近いというか、親しみやすいのです。「ライオンと魔女」のアスランが一番好き。

 シリーズ第1作目ということもあって、とても印象深い作品でした。はじめは4人の兄妹がシリーズ通して活躍すると思っていました。そして、あとがきを読んで「えっスーザンは??」とものすごく気になりました。

 

*2019/10/28 タイトルを変更しました。