びんのなか

想い出話や感想文など。ネタバレだらけです。

オズの虹の国

 オズシリーズ2作目。

 今回、前回の主人公ドロシーは出てきません。

 

ーあらすじー

 オズの北の国に住んでいる少年チップモンビというおばあさんに育てられていました。チップはモンビを驚かせるために、カボチャ人間を作ります。しかし、モンビは驚くことなく、魔法の粉をかけてカボチャ人間に生命を与えました。その後、身の危険を感じたチップは、モンビのもとから魔法の粉を持ち出して、カボチャ人間とともに逃げ出すのです。カボチャ人間にはジャックという名前を付けました。それから木挽き台にも命の粉を振りかけてて馬(?)にします。そして、3人はエメラルドの都へと向かいうのでした。が、うっかりチップは馬に振り落とされてしまい、2人において行かれてしまったのです。ジャックと木挽き台は先にエメラルドの都に着き、王となったかかしと会います。

 おいて行かれたチップがエメラルドの都へ一人で向かう途中で、エメラルドの都の王座を狙うジンジャー将軍(女の子)に出会います。ジンジャー将軍は東西南北の国から来た女の子たち(いちおう兵隊。武器:編み棒)とともに、かかしから王座を奪い取りエメラルドの都を制圧するのでした。

 かかしはチップと仲間とともに逃亡して、ブリキの木こりが王となっている西の国へ助けを求めます。ブリキの木こりは求めに応じて、彼らに同行してくれます。が、ジンジャーはモンビに相談して、チップ達がエメラルドの都へ戻って来ることを妨害するのです。道中、巨大(人間と同じくらい)なムシの学者、ムシノスケも加わります。

 一行はエメラルドの都へと戻りますが(女性が怠けて男性が働く国となっていた)、逆にジンジャーに囚われてしまいました。それで、魔法の粉を使って、ガンプの頭をつけた<空とぶもの>を作り出して脱走し、今度は南の魔女グリンダに助けを求めます。グリンダは、オズの正当な後継者は<オズマ>という行方不明の王女で、これにはモンビが関わっていると言うのです。

 エメラルドの都へと再々度戻り、今度はグリンダとモンビが対決します。モンビに勝ったグリンダは、オズマの行方を問い詰めます。すると、モンビはチップこそがオズマであるというのでした。モンビはオズマを男の子へと変えていたのです。ジンジャーは今度こそ打ち負かされ、降伏します。そして元の姿へと戻ったチップはオズマ姫として、オズの正統な支配者となるのでした。

 

―登場人物ー

チップ(オズマ):主人公。やんちゃないたずらっ子。好奇心旺盛でわりと器用。口が悪い。ドロシーより幼い感じがする。

ジャック:気のいいカボチャ頭。すごいマイペース。あまり賢くない。

木挽き台:ちょっと気性が荒い。意外と常識がある。

かかし:…知性はどこへいったと聞きたくなることがしばしば。穏やかな変人。

ブリキの木こりニックという名前があったことが判明。ウィンキーの国では「王」ではなく「皇帝」と呼ばせているらしい。ロマンチスト。かなり器用。

ムシノスケ:空気の読めない自信家。豊富な知識を持つ。

グリンダ:最強の魔女。ルールを破らない。

モンビ:北の国では<魔女>が住むことが禁じられていたが掟を破る。

ジンジャー:プライドが高く気の強い女の子。贅沢や楽しいことをすることだけを考えている。苦労や我慢はもってのほか。典型的な<バカなイマドキの若い女の子>のイメージ(めっちゃ昔の作品ですが;)。ただ、この思想で国を制圧する実行力はすごい。

パストリア:オズの国の正統な元支配者。<オズの魔法使い>によって王座を奪われた。

 

ーその他ー

☆オズの国の時間経過

 チップ少年は10歳前後のイメージ。「オズの魔法使い」で、オズは若い頃にエメラルドの都へ来たと言っている。そして、そのうちに年をとって老人となった。…??一体オズマはいくつ?

☆パストリアの行方

 ・オズがエメラルドの都を作ったと言っている。…オズのウソ?

 ・王座を奪われたパストリアはどうなったのか。まさか…;

☆北の魔女

 モンビが掟を破ったにもかかわらず、北の<よい魔女>は何をしていたのか。

 

ー感想ー

 「オズの魔法使い」の続編。読者の要望により書かれたようなので、後付け設定が多いのかも。あまり気にせず読んだ方がよいでしょう。

 主人公のチップ少年は本当にかわいい男の子でした。この子が実はオズマ姫(美少女)というのは、なかなかおいしいと思います。それより臆病ライオンが登場しなかったことが、ものすごく気になりました。何故でしょう?

 前作が「家に帰る」ことを目的とした冒険物語だったのに対して、今作は「王都奪還」を目的とした冒険物語となっています。「戦争」といっても実際に殺し合いの戦いではありませんが、兵隊という言葉が出てきたりと、前作とはちょっと趣が異なっていた気がします。もっとも前作の方がばんばん殺害シーンが出てきましたが(今回は殺されたものはなかったはず)。

 あと、なんとなく世相が表れていたのかなぁとは思いました。当時のアメリカがどうだったのか分かりませんが、女性の人権運動が活発な時代だったんでしょうか。女性の権利主張を誇張して描いているような。最終的に男性だけでなく女性からしても必ずしもその状況が好ましいわけではない、と悟るあたりが皮肉っぽいです。

 とはいえ、相変わらず謎の生命体がたくさん出てくるあたりがオズでした。そしてみんな自由。自分を曲げずにきっちり主張するのも相変わらず。でも、ちゃんと関係が悪くならないように気を配る努力をお互いがしています。

 グリンダは「正義」を司っていると思います。この世界では「力」がすべてです。打ち負かした方が勝ち。勝ったものが権利を得るのです。なので、ジンジャーが王座を奪い、女王を名乗っている以上、彼女が「女王」であるとグリンダは言います。というのも、かかしの得た王座はオズから譲り受けたものではあるけれど、その王座自体が奪い取られたものなので、もともと正当な権利の上にないものなのです。だから、かかしとジンジャーで正当な権利がない上での「王座」の取り合いとなっている以上、奪った方が勝ち、となるのです。このためグリンダはかかしへ王座を返す手伝いをする必要はないとしますが、王座に正当な権利を持つ者を就かせる(オズマを探し出す)ことには協力します。また、ジンジャー、モンビに対しても「約束」は必ず守ります。いくら相手が非道なことをしていても、きちんとしたルールの範囲で勝とうとします。ルールを守って勝つといったところに、グリンダの「強さ」と「正しさ」が表れているようです。

 ジンジャーの強烈なキャラクターのおかげで、モンビの影が薄く感じました。ジンジャーは高慢で自分の欲望に正直です。その分単純で、どこか憎めないところがありました。自分の欲望のためだけに反乱を起こすのですから。しかもその欲望が若い女の子らしい可愛いものだし。やってることはむちゃくちゃで、迷惑極まりないですが。敵対勢力がこんな相手だからこそ、現実味が全然なくて話が重くなりすぎずによかったのかもしれません。