びんのなか

想い出話や感想文など。読書メモが多め。ネタバレだらけです。

帰還(ゲド戦記4)

 やりたいことが進まないです。最近はキリンのペーパークラフトを作り続けています。いつ終わるんだろう。デュオリンゴは、ヒヤリングで音が出ない不具合が頻発しています。どうしろというんだと毎回思います。

 

 

 

■ あらすじ

 …テナーが主人公だと、長いわりには物語の起伏が少ないため、あらすじ書くのが難しいです。

 

 荒廃しゆく世界を救うためゲドとレバンネンが旅をしている頃―。

 ゴントの中谷にあるかしの木農園には、夫に先立たれた女ゴハが住んでいた。ゴハには結婚して家を出た娘リンゴと、船乗りになって消息不明となっている息子ヒバナがいる。今はゴハは一人で農園を切り盛りしていた。

 ゴハは友人のヒバリに頼まれて、大やけどを負った少女を助ける。ゴハは少女を引き取り、テルーと呼ぶことにする。

 オジオンに呼ばれたゴハはテルーを連れて、山道を通りながらル・アルビのオジオンの家へ向かう。途中、四人組の男に遭遇したゴハは、テルーを抱えて逃げる。ようやくオジオンの家に辿り着いたゴハに、オジオンは「テナー」と呼ぶ。

 死の淵にいたオジオンは、テナーとともに森へ行く。そこで彼は「終わった。何もかも変わった」と言い、自分の真の名をテナーに告げて息絶えた。

 オジオンの葬儀の後、テナーとテルーはオジオンの家で生活していた。そんな中、竜のカレシンがやって来て、瀕死のゲドを置いて行く。

 テナーはゲドを家まで運び、看病する。ゲドはテナーに世界で起きたこと、ハブナーに王がいることを伝える。そして、自分にはもう魔法を使う力はないと言う。

 ゲドを求めてハブナーからの使いがやって来るが、力を失ったゲドは会うことを拒絶する。このためテナーはゲドを自分が住んでいた農園へ行かせる。

 ゲドが発った後、テルーは自分を焼いた男ハンディを見かけて怯える。テナーはテルーに絶対に彼に触れさせないと約束する。その後、ル・アルビの領主に仕える魔法使いアスペンがテナーを訪れ、強い憎悪を露わにする。アスペンに呪いをかけられたテナーは、テルーを連れて自分の家に帰ることにする。

 港でハンディに見つかったテナーとテルーは、船に乗っていたレバンネンに助けられる。レバンネンはロークの大賢人を探しているところだった。新しい大賢人は「ゴントの女」という預言(?)のみで、具体的なことは何も分からないらしい。

 レバンネンに送られて二人は農園へと帰る。ゲドは山で羊飼いをしているとのことだった。ある夜、テルーを襲った男たちが家に侵入する。偶々男たちの会話を聞いて追って来たゲドが、男の一人に大怪我を負わせて難を逃れる。男たちの一人はテルーの実の父親だった。

 ゲドと再会したテナーは、ゲドにここにいてほしいという。二人は漸く想い通じ合わせ夫婦となった。三人での生活を送っていたある日、テナーの息子ヒバナが帰って来る。しばらく四人で生活していたが、オジオンの家に住んでいた時に世話になったコケばばの具合が悪いという報せが入る。テナーはヒバナに農園と財産を渡して、ゲドとテルーとともにオジオンの家に向かう。

 もう少しで目的地ーというところで、テナーはゲドとともにアスペンに捕らえらる。呪いをかけられているため、抵抗することができないテナーはゲドを崖から突き落とそうとする。その瞬間、一人逃げていたテルーが呼んだカレシンが飛んで来て、テナーに掛かっていた呪いは解ける(アスペンは死んだと思われる)。

 カレシンはテルーを真の名「テハヌー」と呼び、自分の子どもだと言う。カレシンは彼女をずっと探していたらしい。テルーはテナーとゲドと生きることを選び、三人でオジオンの家へと帰るのだった。

 

 すみません。大事なところを端折りまくっています。ざっくり言うと、「テナーがテルーとゲドとともに新しい家族として生きていくまで」の物語です。そして、その中でテルーという謎めいた女の子の正体が明かされていきます。

 

■ 登場人物

* かなり多いので、主要(だと思われる)人物のみ。

▪ テナー(ゴハ)

 アチュアンの墓所の大巫女だった女性。ゲドにより連れ出されて自由を得た(はずだった)女性。

 オジオンから多くのことを学ぶが、「普通の女」の人生を選び、ヒウチイシと結婚した。リンゴとヒバナという二人の子がいる。

▪ テルー

 親とその仲間から(性的含む)虐待を受け、最終的には火に放り込まれてしまう。何とか回復するが、顔の右半分はケロイドとなり、右目は失われている。また、右手は四本の指がくっついて丸く固まってしまった。

 天地創造のことば(竜のことば)を話すことができる。人の姿をした竜(?)だと思われる。まじない師などからは得体の知れない恐怖に似た感情を抱かれている。

 年齢は6~7歳くらいだが、栄養状態が悪すぎて2歳くらいの体重しかない。

 真の名はテハヌー

▪ ゲド(ハイタカ

 元ロークの大賢人。前作で力をすべて使い果たして、魔法を使う力を失った。そんな自分を「惨め」だと感じている。

▪ レバンネン

 ハブナーの王。荒廃した世界を立て直すべく、色々改革を行っている模様。ロークの大賢人となる人物を探している。

▪ カレシン

 最年長の竜。テルー(テハヌー)を自分の子だと言う。

▪ オジオン

 ゲドとテナーの師。真の名はアイハル。ゲドとの再会は果たせなかった。テルーの正体を理解していたと思われる。

▪ コケばば

 ル・アルビに住むまじない女。当初はテナーとの関係は良くなかったが、徐々に良き相談相手となっていく。テルーも懐いており、コケばばもテルーを可愛がっているように思われる。

▪ アスペン

 ル・アルビの領主に仕える魔法使い。噂では、永遠の命を望む百歳近い現領主に、孫の命を吸い取って与えているらしい。テナーのことを忌み嫌っている。

▪ ツタ

 中谷のまじない女。テナーと打ち解ける気はまったくない。

▪ リンゴ

 ゴハの娘。結婚してヴァルマスに住む。一人で生活している母親を心配している。しっかり者。

▪ ヒバナ

 ゴハの息子。姉と違い、精神年齢が低そう。子どもがそのまま大人になったような男性。船乗りを廃業して、農園に帰って来た。

▪ ヒバリ

 ゴハの友人。

▪ ブナノキ

 ヴァルマスに住むまじない師。オジオンの弟子の弟子。

▪ 四人組

 ハンディ、シャグ、ヘイクの三人の男性と、セニニ(女性)の四人?オジオンの家に向かう途中に出会ったのは四人組の男とあったが…。テルーはヘイクとセニニの子どもらしい。ハンディはヘイクの兄弟か(テルーのことを姪と言っていた)。セニニは三人から物乞いをさせられたりと、かなり酷い扱いを受けており、最終的には殺されてしまう。男三人は捕まって殺人罪で裁判にかけられた。

 

■ 設定など 

▪ この世界は、男性中心の社会。魔法使いは男性にのみ許された職業である。このため、ロークの賢人は男性のみで構成されている。

▪ 魔法使いは性行為をしない。

→ レバンネンの父親は魔法を使っていた。他にも前作までは結婚して子どものいる魔法使いが登場していたが…??

▪ テナーがアルハだった頃の世話人マナンは宦官だった。

▪ 九賢人は大賢人を失い、意見がまとまらず、ばらばらになっている。

▪ 九賢人の一人、「呼び出しの長」のトリオンは黄泉の世界から帰って来なかったため、レバンネンが代行している(大賢人を選ぶには九人必要である)。

→ 「さいはての島へ」の終盤、九賢人全員そろってゲドたちを迎える描写があったはずだが…。

 

■ 感想 

*だらだらと書いているので、長いです。否定的な感想も書いています。この作品が好きな方はご注意ください(適当に読み飛ばすか、読まないでください)。

 

 かなり微妙な気持ちになった続編でした。上記に挙げたような、前作までとの矛盾点が気になってしまいます。(マナンが宦官だったというのは、自然だと思いますが)。

▪ フェミニズム

 かなりフェミニズム色の強い作品となっていて、登場する男性のほとんどが不快な性格をしています(さすがにオジオン、ゲド、レバンネンにこういった描写はありません)。とにかく女性蔑視がひどい。アスペンのように悪意のある人物もそうですが、風の長やブナノキの場合、悪意がないからこそ、尚性質が悪いように思えます。ヒバナも典型的な男尊女卑キャラで、昭和~平成の亭主関白を地でいっています。この世界では、女性は男性より価値のない劣った存在であるという価値観のようです。このため、女性を見下していることが当たり前のことすぎて、「差別」という自覚すらないのでしょう。主人公であるテナーの視点で物語が進行することもあって、全編通して見下され続けるので、少しくどく感じてしまいました。この辺りは、女性と男性で感想が変わってくるのでしょうか。

▪ 特別ではなくなったゲドとテナー

 今作では今まで特別な存在だったテナーとゲドが「普通の女」「普通の男」になったことも着目点だと思います。テナーはオジオンから多くのことを学び、それを生かすこともできたはずでしたが、「普通の女」として人生を歩む選択をしました。つまり、それは結婚をして子どもを産み育てる、ということです。もちろん、テナーなりの理由があったわけですが、私からすると「もったいない」と感じました。

 一方のゲドは力を失い、魔法を使えない「普通の男」となりました。そして、そうなって漸くテナーと結ばれます。ゲドは「一人前の男」となったわけです。性格的にも、前作ではオジオンのようなすべてを達観したような感じでしたが、今作では自分に自信がないような性格となっています。まあ、今まで当たり前にできたことができなくなったわけなので、不安にもなるでしょうが。

▪ やや大人向けの表現

 今作では、テナーとゲドの性行為以外にも、テルーが強姦されていて処女ではなかったりと、かなり踏み込んだ表現が多く見られました(直接的な描写はありません)。男女の違いについても、作中色々述べられていました。そういえば、この世界の魔法使いは、禁欲が求められる僧侶みたいなもののようです。ゲド自身も、恋愛的なことにはかなり疎い感じでした。魔法を使う人は、禁欲以前にそもそも性欲なさそう。

▪ 世界のこれから

 テルーは性的暴行以外にもあらゆる虐待を受けていて、その内容がひどすぎて読んでいて辛くなります。暴力はふるうは、食事は与えないは、挙句の果てには火に放り込むなんて、人間のやることではないと思います。ただ、戦時中であったり、貧困であったり、混沌とした世界では、人間が人間でなくなることも現実です。アースシーでも、世界が力を失って荒廃が進んでいました。テルーのような子どもが、きっと他にもたくさんいたのでしょう。

 レバンネンが王に立ったことで、世界は再び平和な方向へ軌道修正されていきます。彼は行政的な改革により、世界を安定へと導こうとしています。ロークも崩壊寸前だし、魔法に依存しない世界になっていくのでしょうか。レバンネンは魔法を否定する存在ではありませんが、今後この世界での魔法のあり方が変化していく予感はします。

 ロークの賢人たちに顕れた預言の「ゴントの女」とは、きっとテルーのことでしょう。オジオンはテルーの教育は「ロークではだめだ」と言いました。テルーの本質を見抜いた上での言葉だったのでしょうが、出会ったのが遅すぎました。もう少しオジオンが長生きしてくれたらよかったのに。

▪ その他

 ゲドが魔法を失ったことを「惨め」だと感じていたのは意外でした。前作では、すべてを受け容れての行動だと思っていました。自分の最後の使命を果たした後は、のんびり余生を送るつもりだったのかと。オジオンの死に間に合わなかったことは、とにかく残念でした。本当に甘くなかった。それにしても、ゲドは今回も瀕死で療養していましたね。前作ラストではもう少し回復しているのかと思っていました。

 テルーはカレシンの子ども…ということは、人間の姿をしていても、竜と同様にものすごい長寿なのでしょうか。彼女は、あまり喋らないこともあり、何を考えているのかがわかりづらいキャラクターでした。最後にテナーとゲドと一緒にいることを選んだので、ちょっと安心しました。ちゃんとテナーの愛情が伝わっていて、よかったと。

  あれだけ強大な力を持ったゲドが、「普通の人間」(竜のことばが話せるからそうとも言えないか?)になったことは寂しく感じましたが、これまでの壮絶な経験を考えると、テナーとの穏やかな生活も悪くないと思えます。そして、ゲドの代わりに、今度はテルーが新たな主人公になっていく予感がします。テルーはかなり強い力を持っていそうです。

 個人的には、作中でコケばばとのやり取りが一番好きでした。嫌なおばあさんかと思っていたら、途中から可愛らしくなってきました。テルーも懐いていたし、きっと本質的に通じる部分があったのでしょう。

 

 今作は前作からかなり時間が空いての発表となったこともあってか、かなり雰囲気が変わったと思います。前作までは哲学的な作品だと思っていましたが、いきなりフェミニズムが前面に押し出されていて驚きました。

 ただ、テナーがヒバナと決別して新しい家族との一歩を踏み出したこと、テナーを苦しめるアスペンがテルー(というかカレシン)によって滅ぼされたことは、物語上のテナーに対する女性差別の一つの結末のように思えました。世界の価値観が変わっていなくても、テナーは今度こそ自分の望む人生を手に入れたのです。

 そういうわけで、物語としては従来通りきれいに終わっているので、読後感は悪くないです。途中、読んでいてちょっとしんどかったですが。テルーの正体は、少しずつヒントが出されて最後に明かされるので、この辺りも楽しめました。

 全体的にはフェミニズム色に覆われてストーリーそのものが霞んだ印象でした。物語の起伏もそんなにないので、あまり面白いとは思えませんでいた。

 一番面白かったのは「影との戦い」です。これは本当に面白かったです。二作目の「こわれた腕環」は起伏の少ないストーリーでしたが、先が気になる面白さがありました。三作目の「さいはての島へ」もまあまあ面白かったですが、こちらは哲学的すぎて難しく感じました。

 一作目で登場したカラスノエンドウやノコギリソウの再登場を願っていましたが、まったく登場しませんでした。カラスノエンドウなら、どんなゲドでも受け入れてくれると思うのですが。好きなキャラクターだったので残念でした。

 

 何が言いたいのかわからないところもあるかと思います。そこまで面白かったわけではないのに、何故こんなに長くなったのでしょう…。

 ここまでお読みいただいた方、本当にお疲れさまでした。それから、ありがとうございます。

 

 

 

 

 

後悔…

 最近また頭痛がひどくなってきました。たぶんストレスだと思います。解決の難しいストレスの原因って厄介ですね。

 

 ゲド戦記の「帰還」読み終わりました。そのうち感想書こうと思っています。ファンタジーというジャンルではない気がしました。読む人を選びそうだと思います。シリーズとしては残り2冊あるようですが、今のところ買う予定はないかな…。

 

 ところで、私の大好きな童話集があるのですが、この作者の童話集が実はあと2冊出版されていました。今は絶版となっていて、再販の予定もないので、古本を探すしかないようです。

 元々600~700円くらいの本が、Amazonで見たら1冊は50,000円で出ていました(もう1冊は3300円)。誰が買うんだろう…と思っていたところ、最近見たら7500円に値下がりしていました。そりゃ誰も買わないだろう。何故あの値段…。さすがに元値から考えたらありえないので、購入は断念しました。

 本の存在を知らなかったのでどうしようもありませんが、気づかなかったことが大変悔やまれます。私が童話を読む年齢ではなくなった頃に出版されていたみたいです。イギリスの作品なので、原書を買って読むの一つかもしれません。原書もAmazonにありました(片方は在庫切れでしたが)。が、デュオリンゴですらあまり進んでいない私に、英語の本が読めるのか…。

 後から存在を知って、でも販売終了していて買えないものが結構あります。中古だとありえない値段がついているのも多いです。存在を知ってしまうと、どうしても欲しくなるので、それが手に入らない時の後悔と絶望感がすごいです。今回の本以外にも色々あるんですよね…。

さいはての島へ(ゲド戦記3)

 シリーズ3作目。当時はこれが最終巻だと思っていました。

 持っているのが単行本のため、テーブルに置いて読んでいるのですが、座った姿勢を維持するのがしんどい…。筋力がなさすぎです。

 

■ あらすじ

1.ナナカマド

 エンラッドの王子アレンはローク学院の大賢人を訪ねる。アレンはモレド家(アースシーで最も古い一族)の末裔である。ハイタカと名乗る大賢人に、アレンは自国で起こった異変を伝える。魔法使いがその力を失ったと。

2.ロークの長たち

 腕輪がハブナーの“王の塔”に戻ってから17~18年くらい経っている。しかし、玉座は800年間空いたままとなっている。

 ハイタカは九賢人に、世界が急速に力を失ってきていること、その処置を講じるために旅立つことを告げる。そして、アレンに同行を求める。

3.ホート・タウン

 アレンとハイタカははてみ丸(舟)に乗って、ホート・タウンへ着く。この場所はハイタカを知る者がいるため、ハイタカは商人に姿を変え、アレンはその甥として振る舞うことにする。

 ホート・タウンは荒廃が進み、ハジア(麻薬?)中毒による廃人が至る所に横たわっている。そして、ここでも魔法の力だけでなく、あらゆる力が失われていた。二人は、ウサギという(元)魔法使いから話を聞こうとする。ウサギはハイタカを闇の世界に案内するという。精神世界(?)へと旅立った二人を見守るアレンだったが、そこへ現れたのは闇の王だったー。

4.魔法の灯

 目の前にいたのは膝に顔を埋めるウサギと、仰向けに倒れているハイタカだった。見知らぬ三人の男たちが金貨を袋に放り込んでいる。彼らは盗人だった。アレンは盗品を彼らから奪い、外に逃げ出す。アレンは自分が囮になって敵をハイタカから遠ざけようとしていたのだ。

 結局捕まったアレンは奴隷船に乗せられるが、ハイタカに助けられる。ウサギと闇の世界に行ったハイタカは、結局何の収穫もなかった。

5.海原の夢

 再び舟に乗り、ローバネリーを目指す二人。舟でハイタカはかつてハブナーに住んでいた魔法使いの話をする。クモと呼ばれたその男は、死者を呼び出していた。ある時、ハイタカは彼が大賢人ネマールを呼び出すのを目撃し、激昂する。ハイタカはクモを黄泉の国へ連れて行き、二度と死者を呼び出さないよう誓わせたという。

6.ローバネリー

 絹織物が特産品らしいが、やはりこの地でも力が失われていて、生産することはできなくなっていた。

 二人は染めを専門としていた魔法使いの老婆を訪ねる。この老婆はかつては強い力をもった魔法使いであったが、今はもうその力失っていた。ハイタカは彼女から本名を取り上げ、新しい名を与えることで魂を救ってやる。

 その後、老婆の息子(ソプリ)がやって来て、死の国への道案内をするから同行させてほしいと言って来る。彼もまた、かつては魔法使いだった。同行を許したハイタカに、アレンは不満を抱く。

7.狂人

 ソプリを加えた三人の乗った舟は西へ向かう。アレンは徐々に負の感情に支配されつつあった。

 目の前に見える島に上陸しようとした時、無数の槍が降って来た。ソプリは海へ飛び込んで死に、槍を受けたハイタカは重傷を負ってしまう。

8.外海の子ら

 アレンは絶望しながら、瀕死のハイタカと舟で海を彷徨っていた。しかし、突如現れた3人の男たちに助けられる。彼らは“いかだ”で生活していて、陸へ上がるのは年に一度だけだという。

 漸く目を覚ましたハイタカはアレンを厳しさを持って「行かなくてはならない」と諭す。ハイタカは、自分が完全に回復するまではここで世話になることにする。外海には異変が来ていないようだった。

9.オーム・エンバー

 夏至の日、祭りが開かれ、そこで吟唱詩人が歌っていたのだが、突然「歌」を忘れてしまう。アレンが歌うことで祭りは進んだが、明らかに異変はやって来ていた。

 そこへ「ゲド」を探していた竜が現れる。竜と会話したハイタカは出発を決意し、いかだ族と別れる。竜はオーム・エンバーといって、かのエレス・アクベを殺し、自分もエレス・アクベに殺された、オームの血を継ぐ竜だという。竜はゲドに助けを求めていた。「西国に自分たちを破滅させようとする竜王がいて、とても敵わない」と。

 ーその一方でロークでは、姿かえの長と呼び出しの長が世界を見ていた。姿かえの長の懇願で、呼び出しの長の見たものは「終末」だった。翌日、呼び出しの長は魂が抜けたようになっていた。異変はロークにも浸食してきたのだ。ロークからも魔法が失われた。

10.竜の道

 「竜の道」と呼ばれる竜が棲む島に上陸した二人。そこで二人が目にしたのは、力を失った竜たちだった。

 二人は、カレシン(最年長の竜)の城でオーム・エンバーに再会する。竜は「探している人間に会うためにはセリダーに行かなければならない」と言う。竜の言葉をアレンに伝える中で、ハイタカは本名「ゲド」を明かす。そして、ゲドはこれからはアレンを本名「レバンネン」と呼ぶと言った。

11.セリダー

 セリダーに着くと、オーム・エンバーがやって来る。そこへクモの幻影が現れる。ゲドはクモが闇の国へ行くのだと言う。

 オーム・エンバーも、とうとう「太古のことば」を失ってしまった。それでも竜は<さいはての岸>へと道案内をする。ゲドは「わが敵よ」と呼び、クモはその実体を現す。

 オーム・エンバーの捨て身の攻撃によりクモは「本当の姿」となる。それは若い男ではなく、寿命を超えて生きた醜い老人だった。クモは自ら広がった闇をくぐって黄泉の世界へ姿を消す。二人は彼を追って黄泉の世界へ入って行く。

12.黄泉の国で

 黄泉の国を進む中、ゲドはロークの呼び出しの長を見つける。ゲドは彼に戻るよう諭す。

 再びクモと対峙した二人は、そこに死の川の源となる入口に辿り着いていた。アレンは再生し続けるクモにずっと斬りかかる。ゲドは持っているすべての力を使って、虚無の扉を塞ごうとする。そして、ついに扉が閉じたのだった。ゲドがクモに何か語り掛けると、クモは死の川を下っていき、見えなくなった。

 すべてが終わり、アレンは力を使い果たしたゲドを背負って、引き返すのだった。

13.苦しみの石

 セリダーの砂浜に戻ったアレンたちのところに、竜のカレシンがやって来る。竜は二人を乗せて、ロークへと飛び立った。

 ロークで長たちが出迎える中、ゲドは若きハブナーの王となるアレンを祝福する。そして、ゲドは再び竜に乗り、故郷のゴントへと向かっていった。

 

■ 登場人物

▪ アレン(レバンネン)

 由緒正しい血を引く王子。美しく整った顔立ち。17歳。真面目で誠実な性格だが、若さ故の未熟さもあり、抽象的な物言いしかしないゲドに苛立つことがある。「セリアドの剣」という、エンラッドに古くから伝わる剣を携えている。ハブナーの王となる。

▪ ハイタカ(ゲド)

 ロークで大賢人となっている。行動力は相変わらず。年齢は40~50くらい?(←老人ではないと思う)

 アレンがハブナーの王となることを早くから見抜く。最終的に力を使い果たして、魔法が使えなくなる。

▪ 九賢人

守りの長 … 年齢不詳。「ゲド」の名を知る。

様式の長 … カレガド帝国出身。まだ若い。金髪。

名付けの長 … クレムカムレク。背の高い老人。

薬草の長 … 皮膚の黒いずんぐりとした体つきの男。

風の長 … 鋭い目つきのやせぎすの男。

呼び出しの長 … 浅黒い品のよい顔立ちをした、若くて背の高い男。本名トリオン。

姿かえの長 … 白髪。

詩の長 … 胸の厚いがっしりした体つきの男。

手わざの長 … 機敏なほっそりとした体つき、目は澄んでいて鋭い。

▪ ウサギ

 海賊イーガーのもとで風の司をしていた元魔法使い。イーガーに右手首を切り落とされた。今は廃人となっている。

* アレンを捕えた奴隷商人(元海賊)のイーグルとイーガーが同一人物なのかは不明。最初は名前が似ていたので同一人物だと思っていた。

▪ ソプリ

 染師の男。元魔法使い。力を失うとともに、心も病んだ模様。

▪ オーム・エンバー

 「ゲド」の名を知る竜。エレス・アクベの環を探すのに協力してくれた。

▪ カレシン

 最年長の竜で、「ゲド」の名を知る。

▪ クモ

 災いの元凶。ゲドに対して強い憎悪の念を抱いていると思われる。自然の摂理に背き、「永遠」を手に入れようとしていた。本名は失われ、存在そのものが「虚無」となり、世界の力を吸い尽くそうとしている。

* かなり難解な存在なので、人によって解釈が違うかもしれません。一回読んだくらいでは、私には理解できなかったです。

 

▫ ゲドの名を知る者

 守りの長、名付けの長、オジオン、テナー(“白き女(ひと)”と呼ばれる)、カラスノエンドウ、ノコギリソウ(大工に嫁ぎ、三人の娘の母親となっている)

 オーム・エンバー、カレシン

 

■ 感想

 非常に哲学的な内容に感じました。死生観(といってよいのかな?)について何度も語られますが、すみません、私にはあまり理解できなかった…。自然の摂理、あるがままを受け容れろ…そんな感じでしょうか。

 心の隙というか、不安や恐怖そんな感情を少しでも抱くと、あっという間に囚われてしまい、力を失うのでしょうか。あるいは、闇に近づきすぎると…とか??最初は精神的な強さが関係するのかとも思っていました。守りの長は特に影響を受けていないようでしたし。しかし、呼び出しの長やオーム・エンバーは力を失いました。彼らに心の隙があったとは思えず、そうすると闇に近づきすぎたことで力を失ったと考えた方が自然な気もします。が、何の前触れもなく力を失うことも多いようなので、流行り病みたいなものという側面もあるようです。…よくわからない。カラスノエンドウは元気でしょうかね。オジオンは影響なさそう(高齢ではあるが生きている)。

 全体的な構成は舟であちこち旅する1作目に近いです。ただ、過去2作に比べると、主人公アレンの心の成長がいまいちわかりづらい印象を受けました。戦いの中心がゲドだからでしょうか。どちらかというと、ゲドの世話をしている印象の方が強いです。あと、「クモ」という敵を目指すわけですが、謎の異変から始まって虚無が世界を覆いつくそうとする流れが、FF3を思い出しました。

 アレンは最終的にハブナーの王となるわけですが、王の存在と世界に均衡に関係があるのかはわかりませんでした。王の不在が異変を進行させた…とも思えません。ただ、「死への恐怖」を乗り越え、帰還したアレンでなければ、ハブナーの王となり得なかったのでしょう。今回の出来事は、世界がアレンや人々に与えた試練だったのかもしれません。

 アレンとゲドの関係を見ると、ゲドとオジオンの関係によく似ていると思いました。ゲドの年の重みを感じます(正直、そこまでの年かという気がしないでもない)。故郷へ帰ったゲドが、今度こそゆっくりとオジオンと過ごしてほしいと思います。

 それにしても、オーム・エンバーの死はつらかったです。登場期間はそこまで長くないのですが、ゲドとの絆の深さが伝わってくるため、悲しかった。この作者の方は、「死」や喪失感を表現するのがとても上手だと思います。読んでいて、結構落ち込む…。

 

 気になったこと。

 ゲド、毎回瀕死になっています。読んでいて真っ先に思いました。「また死にかけてる」と。

 あと、ノコギリソウとのことが気になると思っていたら、とても親切に現状が描かれていました。たまに会いに行ったりするのでしょうかね。前作が出た後、作者に問い合わせでもあったのかと思いました。

 我が家にはあと1冊続編があります。続きを買うかはそれを読んでから決めようかと思っています。

 

* ここの記事読んでもあまりわからないと思うので、気になった方は読んでみてください。とても面白いので、是非!!個人的にはかなり完成度の高い構成の物語だと思っています。

 

 私の持っている本。消費税3%の頃が懐かしい…。

 

こわれた腕環(ゲド戦記2)

 前作で出てきた腕環の物語。

 かなり前に読み終わっていました。色々あって、書いている途中で中断していました…。

 

 

■ あらすじ

 テナーは6歳の時に<アルハ>の名を授かり、カルガド帝国にあるアチュアンの墓所で名なき者たちに仕える大巫女として育てられる。そこは外部との接触のない隔絶された世界で、他の巫女見習いの少女たちとの生活を送ることになる。アルハの教育係はコシルとサーという位の高い巫女だった。そして付き人としてマナンが傍らに仕えている。

 アルハが15歳になった時、コシルから玉座の神殿の地下を案内される。大巫女の役割には、帝国から送られた囚人の処刑も含まれていた。アルハはなんとか役割を果たすが、体調を崩してしまう。

 神殿の地下には大迷宮があり、そこは大巫女だけが自由に行き来できる世界だった。回復したアルハは、迷宮を探索していく。サーから彼女が知る限りの大迷宮についての情報を教えてもらっていた。サーはまた、エレス・アクベの割れたお守りについても語る。割れた片方は神殿の地下の宝庫にあり、もう片方は行方不明だという。そして、幾度となく宝庫に眠る片割れを狙う者たちが墓に侵入しようとしたという。侵入者の中には<魔法使い>もいて、彼らは不思議な術を使うという。

 サーが死んでしまった後、アルハはコシルと二人でこの地を取仕切ることになる。権力欲が強いコシルを避けるアルハは、迷宮だけでなく神殿の探索に熱中するようになった。

 ある時、地下道を歩くアルハはそこにいるはずのない男の存在を目撃する。彼女は男がエレス・アクベのお守りを奪いに来た魔法使いに違いないと確信する。唯一の出入り口は外側からしか開かない仕掛けになっているため、その男は逃げることができず地下迷宮に閉じ込められた状態となる。アルハは男の姿が確認できなくなった不安から、ついコシルに彼の存在を打ち明けてしまう。アルハはその男に強い関心を持っていた。

 結局アルハは男を捕えて、壁画の間に拘束する。本来殺さなければならない相手であるが、アルハは男の生を願っていた。彼はハイタカといって、やはり魔法使いであった。アルハとハイタカの距離は縮まっていき、彼は彼女に“テナー”の名を戻す。

 ハイタカの目的は、彼が所持するエレス・アクベの環の片割れの残り半分を見つけて一つに戻すことだった。彼はテナーに本名“ゲド”を名乗り、二人は強い信頼関係を結ぶ。テナーはアルハを捨て、テナーとしてゲドとともに行くことを選んだのだ。エレス・アクベの環は一つとなった。

 途中ゲドに襲い掛かってきたマナンを死なせたり、迷ったりしながらも何とか二人は地下迷宮を脱出する。闇の怒りを鎮まり、墓は大地に沈んだ。

 アチュアンの墓所を後にした二人はハブナーを目指して旅をする。テナーはゲドがずっと彼女の側にいてくれるわけでないことを知り、失望に近い感情を覚える。再び闇に囚われかけたテナーだったが、今度こそ本当に開放され自由を手にする。そして、テナーはゲドの恩師オジオンが住むゴントへ行くことを決める。

 二人がハブナーに着いて、物語は終わる。

 

 あらすじ書くのが難しい…。雰囲気だけでも伝わればいいのですが…。

 要約すると、<アチュアンの墓所>の大巫女アルハが、迷宮で出会ったゲドと心を通わせて本当の自分を取り戻し、エレス・アクベの環が一つに戻った話です。

 

■ 登場人物

▪ テナー(アルハ)

 今作の主人公で、アチュアンの墓所で名なき者たちに仕える大巫女。地下迷宮の道を覚えられるくらいなので、かなり頭が良いと思われる。外界との接触を断たれた生活を送っていたためか、かなりの世間知らず。自分の中に芽生えた感情に動揺している。年齢は16~17歳くらい?

▪ ゲド(ハイタカ

 アチュアンの墓所にエレス・アクベの環の片割れを求めて侵入してきた魔法使い。彼の力を以てしても、墓所に眠る古代の精霊たちの力に対抗するのは困難だったようだ。年齢は20代半ばくらい?30歳にはなっていないと思う。

▪ マナン

 アルハの付き人。アルハのことを可愛がっており、絶対的に服従していた。アルハもまた、マナンに対して気を許していた。

▪ サー

 双子の兄弟神に仕える第一巫女。背が高く痩せている。厳格で信仰心が厚い。彼女が病気となってからは、自身が知り得た帝国の内情をアルハに伝えていた。

▪ コシル

 大王の第一巫女。ものすごく太っている。冷酷な性格で、信仰心はまったくなく、権力にしか興味がない。アルハも彼女を恐れ、警戒していた。

▪ ペンセ

 アルハと同い年の巫女(見習い)。気安く話ができる間柄。

 

■ 世界観

▪ カルガド帝国

 4つの島からなる。大王はアワバスで帝国を支配している。強大な力を持っているらしい。

▪ エレス・アクベの環

 西国出身のエレス・アクベという魔法使いが、アワバスを支配下に治めようとやって来て、謀反を企んでいたカルガドの一部の領主たちと手を組んだ。双子の兄弟神の神殿の神官との戦いとなり、その中でインタシンという神官がエレス・アクベの魔法の杖を砕き、強力なお守りを真っ二つにした。お守りの片割れはインタシンが奪い、もう片方はエレス・アクベが逃げる前に、味方となった小国の王に手渡した。その後、その国は完全に滅亡させられ、お守りの行方はわからなくなった。(←前作でゲドが受け取っていた)

▪ アチュアンの墓所の大巫女

 大巫女が死ぬと、大巫女が死んだその日の夜に生まれた女の子が次の大巫女となる。女の子が健やかに五歳になると、神殿に連れて来られ一年間教育を受け、儀式を経た後“アルハ”(喰らわれし者)の名を得る。今までの名は<名なき者たち>の手に返される。

▪ 名なき者たち

 非常に強い闇の力を持つ地霊だと思われる。

 

■ 感想

 あちこち旅を続けた前作と違い、物語の大部分は墓所内で進んで行きます。迷宮の描写が複雑すぎて、想像力が追い付きませんでした。変化は少ないものの、続きがとにかく気になるため、どんどん読み進められました。特に、ゲドが登場してからは、テナーの心の動きがリアルだと思いました。その矛盾した行動に、年相応の少女らしさ(?)がよく出ていたと思います。出会った時から、彼女はゲドに強く魅かれていました。

 一方のゲドは、とても成熟した人間となっていました。まあ、あれだけ色々あったらそうなりますね。実際の年の差は不明ですが、なんか先生と生徒といった印象です。この二人は良きパートナーになりそうです。…が、前作に登場したノコギリソウはどうした、と思わずにはいられない。結構いい雰囲気だったのに。

 カルガド帝国の大王は話題に上がる程度で、実際には登場しません。エレス・アクベの環が一つとなり、今後どのように世界が平和になっていくのでしょうか。…というより、大王がこの事態を知ったらどうするつもりなんでしょう。

 

 今作はテナーが自身を縛るもの(闇)から「自立」し、自由を得る物語でした。それは、己の闇と向き合い、最終的に「自己」を確立したゲドの物語と通じるものがあります。どちらも、「自分探し」の旅だったと言えるかもしれません。

 ゲドは今回も大ピンチに救いの手があったわけで、本当に運がいいというか、人との縁に恵まれているなあと思いました。

影との戦い(ゲド戦記1)

 久し振りの読書。ずっと前から読もう読もうと思っていた本。本棚で眠っていました。私が持っているのは単行本です。

 

 あらすじ…というか、自分用メモ。全然まとまってません。一応、章ごとに区切っています。想像以上に長くなりました。

 

 

■ あらすじ

1.霧の中の戦士

 ゴント山の“十本ハンノキ”という村で生まれたダニー少年。彼は偶々伯母がまじないを使って山羊を呼び寄せているのを目撃する。ダニーが伯母の唱えていた言葉をそのまま口にすると、山羊はダニーにどんどん集まって来て、しまいには彼は何十頭という山羊に囲まれてしまう。それを見た伯母は、ダニーの魔法の才能を見出し、自分の知る限りの魔法を教える。そして、ダニーに“ハイタカ”というあだ名をつけた。ダニーはあっという間に魔法の腕を上げていく。

 ある時、ゴントは強大な力を持つカルカド帝国の侵略を受けるが、ダニーの魔法の力で退けることに成功する。ダニーは力を使い果たし、身動きも取れないほどになってしまう。“沈黙のオジオン”により救われたダニーは、オジオンの弟子となり“ゲド”の名を与えられる。

2.影

 オジオンの弟子となったゲドだが、特に彼から教わることもなく日々を過ごしていく。オジオンのいう“修行”を理解できないゲドは物足りなさを感じる。薬草探しをしている時に出会った領主の娘に唆されたゲドは、オジオンの「知恵の書」を持ち出して<死霊を呼び出す>呪文を唱える。そこに現れたのは<影>だった。恐怖に囚われたゲドだったが、戻ってきたオジオンにより魔法は解かれる。

 オジオンに、ロークへ行って魔法を学ぶ選択肢を与えられたゲドは、オジオンの元を去り、ロークで学ぶことを選ぶ。

3.学院

 学院に着いたゲドは、学院長の“大賢人ネマール”と面会する。そこにやって来たカラスはネマールが去った後も残り、ゲドを睨んで言葉を発してから去っていく。

 学院で知り合ったヒスイとカラスノエンドウ。ヒスイはあからさまにゲドを馬鹿にしており、ゲドもまたヒスイに対して敵対心を露わにしていた。カラスノエンドウとは気が合うようだった。

 ゲドはある課題の最中に出会った”オタク“という小動物に真の名“ヘグ”を見出し、連れて行くことにする。

 魔法を学ぶ日々、ある時オー島の領主と妃が学院を訪れる。ヒスイは魔法を披露し妃を喜ばせるが、それを見るゲドは妬ましい感情を抱く。

4.影を放つ

 ゲドの優秀さは学院でも知れ渡るようになっていた。学院で行われる祭りの日、ヒスイの挑発を受けたゲドは、「死んだ人間の霊」を呼ぶ呪文を唱える。その瞬間現れた影はゲドに襲い掛かるが、ネマールによって追い払われる。しかし、ゲドは重傷を負い、ネマールは力を使い果たして命を落としてしまう。

 顔に大きな傷を残したものの、なんとか回復したゲドは、ネマールの後任となったジェンシャーに、ゲドが呼び出した影は彼の「無知と傲慢」であると告げられる。ゲドは一がら魔法を学び直すことになる。

 魔法使いとして故郷に帰るというカラスノエンドウは、ゲドに本名を教えるという、最大の贈り物をして別れを告げる。ゲドもまた、自分の名前をカラスノエンドウに教える(ゲドは「ハイタカ」の名前で呼ばれている)。

 ゲドもまた、以前ほどではなくともある程度力を取り戻し、自分の放った影を求めて学院を去ることを決意する。

5.ペンダーの竜

 ロー・トーニング島では、卵を孵したベンダーの竜が目撃されるようになり、恐れを抱いた人々は、ローク学院に助けを求めた。要請を受けたジェンシャーに、ゲドは自分が行くと申し出る。

 魔法使いとして、島の人々の生活を守っていたゲドは、ある時船大工の子どもを救おうとして、黄泉の国へ足を踏み入れてしまう。ヘグのおかげで呼び戻されたゲドは、影が自分を狙っていることを実感する。そして、島を去って竜を退治することを決意する。

 巧みな言葉でゲドを惑わそうとする竜に対して、ゲドは竜の真の名を呼んで縛ることに成功し、島に近づかないよう誓わせる。

6.囚われる

 ロー・トーニングを後にしたゲドは、サードで出会った男に「テレノン宮殿」へ行くよう告げられる。オスキルへ向かうことにしたゲドは、船で一緒になったスカイアーにテレノン宮殿まで案内してもらうことになる。しかし、スカイアーは影に喰われてその身を乗っ取られていた。ゲドは影から逃げ出し、目の前にあった門の中に飛び込んだ。

7.ハヤブサは飛ぶ

 ゲドはテレノン宮殿で目を覚ます。傍にヘグの姿はなかった。彼を助けたのは、かつて学院を訪れていたオー島の領主の妃セレットであった。領主はベンデレスクといって、一帯を治めているという。ゲドはセレットに、宝石<テレノン>が眠る地下へ案内される。その石はあらゆることを教えてくれるという。しかし、ゲドは石に身を委ねることを否定する。そこへベンデレスクが現れ、セレットの真の目的はゲドを利用してテレノンを支配するだったことがわかる。ゲドとセレットは逃げることになる。セレットの正体は、オジオンの元にいた時に出会った領主の娘で、ゲドが影を放った元凶だったのだ。

 逃げるゲドはヘグの遺体を見つける。そこに生えていた草の葉から魔法の杖を作り出す。黒い生き物に追われる二人だったが、セレットはカモメに、ゲドはハヤブサに姿を変える。セレットは黒い生き物の餌食となってしまったが、ゲドは逃げ切る。

 ひたすら飛び続けて身も心もハヤブサとなってしまったゲドは、ついにオジオンの手首に止まる。オジオンはハヤブサがゲドであることを悟り、元の姿に戻す。そして、オジオンはゲドに影と「向きなおる」よう告げる。ゲドはオジオンから杖を受け取り、旅立った。

8.狩り

 海上での対決を考えたゲドは、舟で影を呼び出す。しかし、影を見失い、波にのまれてしまう。なんとか辿り着いた小島には掘立小屋があり、そこには年老いた男女が住んでいた。心身ともに疲弊しきったゲドは、しばらく身を寄せることにする。二人の男女は言葉も通じず、どうやら二人でずっとこの孤島で生きて来たらしい。老婆の方は、ゲドに心を開いて世話を焼いてくれるようになる。そして、ゲドに片割れとなった腕輪を渡す。回復したゲドは再び海に出て、三度影と対峙するが、両者はすでに「追う者と追われる者」の関係ではなくなっていた。ただ互いに逃げられない、切っても切れない関係というものになっていた。疲れ切ったゲドはようやく村を見つける。

9.イフィッシュ島

 村で体力を回復させ、舟を準備したゲドは、立ち寄ったイズメイの町でカラスノエンドウと再会する。カラスノエンドウはイズメイのあるイフィッシュ島全土を担当する魔法使いだった。

 カラスノエンドウはゲドを自分の家に呼ぶ。そこには彼の弟のウミガラスと、妹のノコギリソウがいた。ウミガラスとはあまり打ち解けられないゲドだったが、ノコギリソウには気安さを感じていた。ゲドの話を聞いたカラスノエンドウは彼に同行すると申し出る。二人は影との決着をつけるため旅立つ。

10.世界のはてへ

 航海を続ける二人は、最果ての島アスタウェルへ着く。村の老人は、そこより東には何もないという。しかし、ゲドは影の逃げる先に気付き、さらに東へ進むことをカラスノエンドウに告げる。二人はひたすら東を目指し、ゲドはとうとう影と対決する。そして、ゲドは己の分身である影を受け入れ、完全な一つの自分となったのだった。ゲドはカラスノエンドウにすべてが終わったことを告げる。二人はノコギリソウ(とウミガラス)が待つイズメイへ帰った。

 

■ 主な登場人物

▪ ゲド

 通称ハイタカ。非常に高い能力を持つ魔法使い。所謂天才。高慢な性格で、謙虚さのかけらもない性格だった。その高慢さが生み出した過ちにより、多大な犠牲を払うことになる。顔の左半分に大きな傷跡が残る。

▪ オジオン

 ゲドの師。“沈黙のオジオン”と呼ばれる大魔法使い。穏やかで優しい人物で、ゲドを温かく見守ってくれる。

▪ ネマール

 ローク学院の学院長で大賢人。非常な高齢。オスキルのカラスが傍らにいる。ゲドが呼び出した影を追い払うが、力を使い果たして息を引き取る。

▪ ヒスイ

 ハブナー島、イオルグの領主の息子。背が高い若者で、いかにも特権階級者といった感じ。田舎者のゲドを常に見下し、何かにつけて挑発してくる。ゲドが影を放つきっかけを作った張本人。

 結局学院では杖を貰えず、オー島のトクネの領主のおかかえのまじない師になったらしい。

▪ カラスノエンドウ

 本名はエスタリオル。ローク学院で出会ったゲドの親友。年齢はゲドより2~3歳年上と思われる。肌の色は黒褐色で見るからに洗練されていない感じだが、実はそれなりに裕福な家で育った。三人兄妹の長男。どんな時でもゲドのことを受け容れてくれる広い心の持ち主。魔法使いとしても、かなり優秀。

▪ ジェンシャー

 ネマールの後任の新しい大賢人。東海域出身で、肌は黒い。ネマールよりは若そう。過ちを犯したゲドを諭す。

▪ セレット

 テレノン宮殿に住む領主の夫人。白い肌に黒い髪の、とても美しい容姿をしている。実はル・アルビの領主の娘で、母親はオスキルの魔女。ゲドに影を呼び出すよう唆した。ゲドを利用して力を手に入れようとしていた。

▪ ベンデレスク

 オー島テレノン領主。かなり高齢で、ろうのような白い顔、痩せている。魔法を使うことができる。妻の裏切りに激昂する。

▪ ノコギリソウ

 カラスノエンドウの妹。14歳くらい。美しく澄んだ目をしている。おとなしそうだが、ゲドに対しては遠慮がない。旅立つゲドと兄の帰りを待つ。

▪ ウミガラス

 カラスノエンドウの弟で、ノコギリソウの兄。ゲドと同い年の19歳。あまり苦労せずに生きてきた模様。端正な顔立ちで、活気溢れている。ゲドとは互いに劣等感を抱き合っているようだ。

▪ ロークの九賢人

 さまざまな術の訓練を担当する長たち。風の長、手わざの長、薬草の長、詩の長、姿かえの長、呼び出しの長、名付けの長、様式の長、守りの長がいる。守りの長は学院の門番をしている。九人の長によって新しい大賢人が選ばれる。

 

■ 世界観

 アースシーという架空の多島海域の物語。魔法の力が人々の生活を支えている。まじない師では杖を持つことはできず、魔法使いの資格を得ることで杖を持つことができる。

 すべてのものには真の名があり、その名を知ることで対象物を縛ることができる。そのため、本名を明かすことは自分の生命を相手が握ることと同じとなる。

 

 挿絵にアースシーの地図が載っています。色々な地名が出てくるので、地図を見ながら読んだ方が、より楽しめると思います。…が、地理的なことが苦手なので、その辺は軽く流しながら読みました。複雑すぎます。地理、歴史とともにかなりしっかりとした世界観となっています。

 

 

■ 感想

 ゲドの心の成長の物語。ゲドは、天才的な能力を持ちながらも、かなり人間的に未熟な人物として描かれていました。彼は自分の才能に自信を持ち、魔法を使うという目に見えるものを欲するあまり、本質的なものを理解しようとしていませんでした。オジオンや長達の言葉はゲドには伝わりません。ゲドは結局、自分の犯した過ちを知ることで、自分の負の部分と向き合うことになります。そして、大きな犠牲を伴いました。ゲド自身には消えない傷が残り、ネマールは死んでしまいます。「死んだほうがよかった」というゲドの言葉が痛々しかったです。

 ゲドは人に恵まれていると思いました。オジオンも、ジェンシャーや長達たちも、皆ゲドが間違っても温かく見守り続けてくれます。賢人となればやはり人間性も大切なのでしょう。ゲドに道を示すオジオンには、深い愛情を感じました。ゲドもまた、オジオンが拠所となっているようでした。

 そして、カラスノエンドウ。彼は何があってもゲドに変わらぬ友情を示してくれます。とにかく心が広い。つらい旅の中でのカラスノエンドウとの再会は、読んでいてほっとしました。

 オジオンとゲド、カラスノエンドウとゲド、どちらも強い信頼関係で結ばれていて、「無償の愛」そんな言葉がしっくりくる関係だと思いました。どんなにつらい時でも、誰かそういう人が一人でもいてくれれば、たぶん大丈夫です。ゲドは自分に向けられる愛情に、しっかり応えることができる人物だったからこそ、良い人たちに恵まれたのかな、とも思います。

 一番悲しかったのは、オタク(ヘグ)との別れ。ナウシカのテトのようなキャラで、ずっと傍にいると思っていたので、まさか死んでしまうとは思っていませんでした。死んでしまっただろうとわかっていても、その後遺体を見つける場面は、「死んだ」という事実を突きつけられて余計につらかったです。

 あれだけゲドの心をかき回したヒスイは、結局まじない師止まりだったみたいです。思ったより小者でした。ゲドはどうしてあんな小者に嫉妬心や憎しみを増幅させたのでしょう。ゲドの中に巣食う影のせいだったのでしょうか。

 終盤に登場したノコギリソウには特別な感情が芽生えていたようですが、どうなるのでしょう。ウミガラスとの関係も気になるところです。

 

 今回の「影との戦い」は序章に当たる部分だと思われます。色々伏線が張ってあるので、今後どうなるのか気になるところです。

 全体的に非常にきれいにまとまっていて、RPGとしてゲームになっても面白いのではないかなと思ってしまいました。「真実の名前」や「均衡」といった設定も、馴染み深いものだと思います。各章見どころがあり、最初から最後までテンポよく話が続いていくので、とても読みやすかったです。登場人物も魅力的でした。

 老女からもらった片割れの腕輪は続編への伏線のようです。今回はゲドの成長に焦点が当たっていましたが、今後はカルカド帝国を巻き込む戦いとなっていくのでしょうか。個人的にはアーク島の“赤い魔法使い”というのが気になります。歌になっているくらいだから、故人ですかね。

 

デュオリンゴのユニットが増えていた

 まだ続いているデュオリンゴ。恐ろしいことに連続日数が1000日を超えていました。…身についているとも思えませんが、とりあえず続けています。

 タブレットの容量がギリギリすぎて、動作不良が頻発したため、一旦データをクリアしました。そうすると、かなりストレージ残量が増えて、動作不良の頻度が減りました。

 それはともかく、知らない間にデュオリンゴのユニット(学習の単位)が増えていました。そんなわけで、英語コースも中級くらいまで終了した状態に変わっていました。そして、カリキュラム的にもだいぶ変わったように思います。始めた頃は、それこそ私の学生時代のカリキュラムに近い印象でしたが、今はなんというか、より実用的になった気がします。

 それにしても大幅なリニューアルとともに、あの個性的な英語コースの例文は削除されたのでしょうか?最近見たのはわりと普通の例文ばかりだったと思います。フランス語や中国語はあまり個性的なのはない…と思っていたのですが、この間見たのに「あなたの右手はどこですか」みたいな例文があって、なんか怖かったです。どういう状況なんでしょう。どうしても心霊的なことしか思い浮かばないです。

 英語のユニットだけでなく、英語使用者向けの日本語コースもユニットが増えていました。さすがに4コースもやるのは疲れるので、現在は英語、中国語、フランス語をやっています。中国語はヒヤリングが難しすぎます。フランス語はとにかく文法が難しいです。文法書を買うべきか。

 

 どうでもいいですが、やる気なさそうなリリーが中国語だとなんかかわいいです。

オズ絵+キャラクターメモ(4)

 最後。おまけでチップやノーム王も作ってみました。

 Wordの保存時、高確率で不具合が発生していたので、本当に恐怖でした。複数ファイルを開いていた場合、一つのファイルで不具合を起こすと他のファイルまで影響を受けるので、保存の順番にまで気を遣っていました。

 

 

■ ベッツィ

 特に容姿に関する描写はない。ドロシーより1つ年上。可愛い顔立ちではあるらしい。

■ ハンク

 小さいロバ。やせぽっちでかっこわるい(「オズの消えたプリンセス」)。

■ トロット

 無邪気でひたむきな、ごく幼い女の子で、大きくて生真面目な目をしている。ドロシーより1つ年下。

■ キャプテン・ビル

 髪には白髪がまじっているが、そんなに年寄りというほどではない。白髪まじりといっても、ほとんどツルっぱげでテカテカしている。大きな耳がニョッキリと突き出て、よく目立つ。目はやさしげで、淡いブルー。丸顔には深いしわが刻まれて、赤銅色に日焼けしている。左脚はひざから下は義足。(「オズのかかし」)

 短い防水コート。ポケットにはお役立ちグッズから目的不明の何かまで、様々なものが入っている。

 ひげにかこまれた丸顔。(「オズの魔法くらべ」)

 

 メインキャラというか、ドロシー、ベッツィ、トロットについてはまったく容姿の描写がありません。なので、あくまでも私の勝手なイメージです。

 ベッツィは全体的に色素が薄い。髪は薄い茶色(金髪ではない)で長めのストレート。たぶん、挿絵の影響だと思います。

 トロットは小柄で髪は黒っぽくて短め。最初はもう少し髪が長くて、某メタスのパイロットのようになっていました。髪と目の色のせいか、東洋的な顔立ちに見えます。本当はどちらかというと、遥か昔に放送していたドラマ「大草原の小さな家」に登場するような、小さい女の子のイメージなんですが(ちゃんと見た記憶もないので、そもそも小さい女の子が登場していたかどうかも定かではない)。

 

 

 

■ チップ

 「オズの虹の国」の主人公で、オズマの仮の姿。いたずら好きのわんぱく少年。特に容姿についての描写はない。華奢な体つき。年齢も不明。言動からドロシーと同じくらいかやや年下くらい…?

■ オズマ

 幼い少女。五月の朝のように、みずみずしく、美しい姿。目は二つのダイヤモンドのようにかがやき、くちびるはトルマリンのように色づいている。背から足もとへかけて、赤みをおびた金髪がふさふさと流れるのを、額のまわりにはめた宝石入りの細飾り輪がおさえている。絹の紗の長衣は、かすみのようにふわふわとからだをつつみ、足には華奢な室内用のサテンの靴をはいている。(「オズの虹の国」)

 その後、オズマについては表現できないくらいの美少女としか書かれていない。

 「オズのオズマ姫」ではドロシーと同じくらいの年齢とあったので、チップとも年齢に差はなかったのかもしれない。

 あらためて読み直すと、だいぶ違いました。髪の長さは少し直しましたが、あとはそのままで。まあ、初登場時は室内着だったし…。銀の王笏を持っている。

■ ドロシー(王女)

 オズの国では王女なので、ちょっといいものを着ている。ドレスを着ることもあれば、シンプルな服を着ていることもある。<魔法のベルト>を持っている。宝石をちりばめた幅広いベルトだそうだが、ドロシーが身に着けるとどうあっても服装に合わない気がする。持ち主によって多少形が変化するとかあればいいのですが。

■ ノーム王(ラゲドー)

 オズシリーズの敵役。何度も登場してはドロシーたちにやられている。あのちょっと間抜けなところが人気だったのだろうか。

 太った小男で、ネズ茶色の服を着ている。モジャモジャの髪も、ふさふさとたれたあごひげも岩と同じ色なら、顔色までも同じ。頭に冠はなく、飾りとしては、宝石をちりばめた幅広いベルト(魔法のベルト)を丸ぽちゃのからだにまきつけている。顔つきは、いかにも親切で陽気らしい。灰色のサンタクロースといった感じ。(「オズのオズマ姫」)

 豪華な衣装に身を包み、血のように赤いルビーを一個細工した王冠をかぶっている。まるまるとした小男。赫(あか)ら顔にふさふさとしたあごひげ、輝く目、額じゅうにしかめっつらのしわが寄っている。陽気そう。(「オズのチクタク」)

 腰が曲がっている。太い体に細っこい手足。大きくてまるい顔には白いひげがふさふさと生えていて、その先っぽは腰より下でとんがっており、いっぽう白髪の先っぽは頭の上でこれまたとんがっている。服はどんよりとした灰色で、きゅうくつそうに体にぴったりくっついており、ポケットというポケットには、なにが詰めこんであるのかふくれ上がっている。(「オズの魔法くらべ」)

 最初に作ったものから、かなり修正しました。陽気さと怒りっぽい性格が共存した顔って難しい。

 

 私に服のセンスがないせいで全体的に衣装が微妙ですが、雰囲気だけでも伝われば…。それにしても、ドロシーをはじめとする主人公となる女の子たちは、ほとんど容姿に関する描写がありませんでしたね。読者の目線に近いキャラクターに関しては、想像力に委ねる意図があったのでしょうか。

 

 オズシリーズに登場するキャラクターは、その容姿を想像するだけでも楽しいです。メインキャラクターも強い個性を持っていますが、それ以外のキャラクターの方が強烈な個性を持っていたりします。読んでいてもいまいち想像できないのも結構ありましたが。挿絵は想像が及ばない部分を補完してくれるので、大事だと思います。オズの挿絵、子どもの頃はよく眺めていました。今回、色々想像しながら作ってみて、楽しかったです。とはいえ、思った通りに絵が描けないことが残念だと、あらためて思いました。

 

 長くなってしまいましたが、ここまでお付き合いくださった方、本当にありがとうございました。