びんのなか

想い出話や感想文など。読書メモが多め。ネタバレだらけです。

十二国記新刊

 今回もちゃんと発売日に買いました。休みだったにもかかわらず電車に乗って本屋さんに行きました。こんな風に発売日が待ち遠しいと感じるのは久し振りです。

 前作がものすごく気になるところで終わっていたので、はやく結末を知りたかった。いちおう読み終わりましたが、やはりシリーズの最初から読み直した方がいいと思いました。

 発売直後なのでネタバレは控えますが、いちおう一区切りはついていました。十年以上気になっていた件については(とりあえず)解決しました。作中の伏線がある程度回収されていたのもよかったです(急ぎ足で読んだため見落としも多いと思います)。琅燦の思惑などは結局わからずじまいでしたが。とにかく先が気になるところです。このシリーズの終着点がどこにあるのかは分かりませんが、過去作の伏線などはすべて回収してほしいと思います(あまり覚えていないけど)。

 4巻の印象は、「闇」→「絶望」→「安堵」→「絶望→収束」。2巻ラストが絶望のどん底だったこともあり、3巻で希望の光が見えてほっとしたのも束の間、4巻終盤付近までほぼ絶望。全体的に暗闇を歩いている感じでした。終盤付近まで厳しい状況が延々と続いたのに対して、ラストはやや駆け足だった気がします。残りページ数が少なくなってくると本当にちゃんと終わるのかと思いました。終盤は読んでいてつらかった。急ぎ足で読んでいても泣きそうになりました。希望のある最後でしたが、欲を言えばもうちょっとここらへんのボリュームが欲しかったです。

 そういえば、回生という少年が活躍すると思っていたら、全然そんなことありませんでした。あと、供物をしていた親子、どうなったんでしょう。

 来年には短編集が出るみたいなので、消化不良だったところが補填されていたらいいな。続編についてはいつ出るかわからないけれど、延麒が言うようにまた陽子や景麒にも登場してほしいです。

 しばらくは無理ですが、時間が出来たら全巻丁寧に読み直します。もうちょっときっちり今作が理解できるはず。

 

続きが気になる作品

 先日十二国記の新作が無事発売されました。長年引っ掛かっていた戴の問題が解決しそうで本当によかったです。なんかもう完結しないのでないかとも思っていたので、一安心。

 続きが気になっていた(過去すぎてもはや“いる”ではない)、もしくは続編を待っている(いた)作品。小説、漫画、ゲーム色々混ざってます。かなり古いのが混ざっています。なんか年齢がばれそう。マンガはほとんど白泉社だった。*作者敬称略

・「創竜伝」(田中芳樹)…もう出ないと思う。

・「銀の海金の大地」(氷室冴子)…作者死去のため諦めるしかない。これは本当に残念。

藤本ひとみの本…特に「シャルルに捧げる夜想曲」。どのシリーズも完結とはいかなくても、ある程度区切りのいいところで終わっているが、これだけは本当に中途半端だった。これなら最初から出さなくてよかったんじゃないかと思う。

・「人形師の夜」(橘裕)…結構好きなシリーズだった。短編集だから続きが気になるというわけではないが、もっとこのシリーズを読みたかった。

・「ジャックとエレナシリーズ」(清水玲子)…清水玲子の作品だとこのシリーズが一番好き。切ない系のストーリーが多め。

佐々木倫子の短編集(白泉社)…どのシリーズも面白かったのに。

・「コントラクト・キラー」(柳原望)…独特な柔らかい感じの絵が印象的だった。単行本未収録作品が3作もあるらしい。これも好きな作品だっただけに続きが出ないことが残念。せめて未収録分も含めて文庫本を出してほしい。

・「人魚シリーズ」(高橋留美子)…テレビでOVA版のを見たのがきっかけ。<なりそこない>に変化するシーンがめちゃくちゃ怖かった。どの作品も好きだが、「人魚の傷」「舎利姫」が特に好き。現代の日本で湧太と真魚がどうやって生きているのか知りたい。

・「闇の末裔」(松下容子)…さっき調べたら2年前に新刊が出ていたらしい(絶対に出ないと思っていたので全くチェックしていなかった)。世界観が好きだった。

・「X」(CLAMP)…雰囲気が好きだった。なんでもいいから完結してほしい。

・「幻想水滸伝」…Ⅲまでしかプレイしてない私が言うのもなんだが、伏線を回収して完結してほしい。

 

 未完というか現在も連載中の「名探偵コナン」ってどうなっているのでしょうか。60巻半ばくらいで挫折しました。実家に置きっぱなしになっているので何巻まで買ったのかすら覚えていません。ちゃんと完結したら読み直したい気もします。あと、「夏目友人帳」。こちらは今でもだいたい発売日に買っている数少ないマンガ。ちゃんと完結してほしいです。

 ざっと思い当たったのを挙げてみましたが、きっと他にもあると思います。それにしてもジャンルに偏りがありすぎですね。ファンタジックな作品が多い。別にこういう系統の作品ばかり読んでいるわけでもないはずですが。

オズまとめ(6)感想など

 これでもかというくらいしつこいですが、オズです。

 ずっと読んでくださっている方がいるのかどうかわかりませんが、もしいらっしゃったら本当にありがとうございました。

 オズシリーズの面白さがちゃんと伝わっているとは思えませんが、もし当ブログの感想を読んで、「オズシリーズ読んでみようかな」と思った方がいらっしゃれば嬉しいです。

 オズシリーズは(以前も書きましたが)1900年から1920年にわたって書かれたそうです。日本では明治から大正にかけての時代です。この時代世界や日本で何があったかは歴史に疎い私にはピンときませんが、世界が近代に向かって加速していく時代だったのかなと思います。

 作者のボームはその時代の社会に対して少なからず否定的に感じていたのではないでしょうか。オズの国に理想が詰め込まれていくーそんな気がしました。

 第1作目の「オズの魔法使い」はきれいな形のファンタジーだったと思います。文明社会の影響をほとんど感じることがなく、死もあれば「悪」が人の心に存在する無理のない世界でした。「オズと不思議な地下の国」くらいまではまあそんな感じの世界だと思います。生き物としての本能がある程度肯定されていたし。

 ですが「オズのエメラルドの都」あたりから、オズが理想郷のようになっていきました。たぶん一番はっきりとした形の理想郷だったのが「オズのエメラルドの都」。ただその世界には少しずつ矛盾を感じるようになっていきました。

 その後、オズの国のあり方や魔法、オズマの権力について徐々に変化していきます。完全と思われたオズの国には多くの綻びが存在し、魔法は万能ではなく、オズマも形の上では絶対的な権力者ですが、実際にはそこまで強い力を有しているとはいえないのでした。

 設定も作品ごとに変わっていき、理想の国から自然な形のおとぎの国に変わったように思いました。オズのメンバーたちが幸せなのは普遍ですが。ハッピーエンドという共通点があるものの、作品それぞれ特色があって単独でも十分楽しめます。

 残念なのは、「オズのライオン」がなかったこと。かかし、木樵り、チクタク、グリンダはあったのに、なぜ?と思わずにはいられません。もし作者がもっと元気だったら先の作品で書かれることはあったのでしょうか…。途中、ものすごく影が薄くなって扱いがぞんざいな気はしていたものの、最後の2作ではメインで登場していたので安心はしていたのですが。

 そういえば「オズの国の歩き方」というスマホ向けのゲームアプリがあるのですが、そこでもライオンが一番影が薄かった…。こちらのライオンは原作と性格は全然違うのものの、それでもメインの登場キャラの中ではまともな方でした。気の毒。こちらのオズも大好きです。

 

■ 印象に残った作品など

□ 全体的に好き

・ オズの魔法使い ・オズのつぎはぎ娘 ・オズの消えたプリンセス

□ 一部のエピソードが好き

・ オズのオズマ姫 ・オズのブリキの木樵り ・オズのグリンダ

□ オズとしては微妙だけど物語としては面白かった

・ オズのかかし ・オズのリンキティンク

 

 まさかオズについてこんなに書くことがあるとは思いませんでした。あと少しだけ書いていますが、内容的に微妙なので折りたたみます。

 夢のないことを書いたり、勝手な妄想などを書いているので、苦手な方はスルーしてやってください。

 

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最近読んだ本

 ニュースで報道されている台風の被害に衝撃を受けました。被災された方が一日でも早く元の生活に戻ることができるよう願っています。

 

 

「赤い指」

 久し振りの加賀刑事の作品。普通の人が過ちを犯すまでの過程がリアル。ただ事件の終息についてはやや微妙な気持ちになりました。最後の父と息子の別れの場面は、加賀刑事らしい感じでよかったです。

 

「白銀の墟 玄の月 一・二巻」

 十二国記の新刊を仕事帰りに買って、日曜日にほぼ1日使って読みました。先が気になりすぎて、とりあえずザーッと流し読みにはなりましたが。時間があれば以前の作品を遡って全部読んでから読み直そうと思います。面白さが全然違うはず。

 前作を読んだのがかなり前なので、やっぱりうろ覚えのところが多かった。ただ当時も早く戴の件が解決してほしいと、続刊を心待ちにしていました。まさかこんなに待つとは思っていませんでしたが。

 解決までは程遠いとはいえ、ゆっくりと前に進んでいる感じでした。全体的に謎が多く、作中でも表現されていたことですが霧がかったような、そんな感覚です。最後は気持ちが着いていけないというか、整理できないので、とにかく先を読みたいです。

 あまり内容のことを書くのも憚られるのですが、特に印象に残ったのは回生という少年です。大人たちが中心となっている物語の中で、少年らしいまっすぐな心を持つ彼が今後どう動いて行くのかが気になります。なんとなく彼の存在は十二国記らしいなと思いました。

 

 

オズまとめ(5)その他のキャラクター

 印象に残ったキャラクターなど。

 

■□■□旅の仲間・協力者■□■□

□ 北の魔女(オズの魔法使い

 よい魔女。あまり強い力は持っていないらしい。ドロシーの旅立ちに加護を与えてくれた。結構重要人物だと思っていたら、存在自体忘れられたのではという扱いに。「オズへつづく道」を最後に一切登場しなくなった。この人も魔法を禁じられたのだろうか。

□ 野ネズミの女王(オズの魔法使い・オズの虹の国)

 色々旅先で助けてくれる。もっと登場してほしかった。

□ ゼブ(とジム)(オズと不思議な地下の国)

 おとぎの国へ行って外の世界を選んだ唯一のキャラ。ゼブが大人になった時、オズへ行ったことを遠い夢だったと思うのだろうか。

□ チチチ・フーチュー(オズのチクタク)

 神様みたいな人(妖精だけど)。感情を持たない絶対的な支配者。もう一回くらい登場してほしかった。

□ オーク(オズのかかし)

 不思議な飛行生物。軽いけど義理堅いかっこいいキャラ。ずっと登場すると思っていたら、故郷へ帰っていった。

□ リンキティンク(オズのリンキティンク)

 インガが優等生的な主人公だったこともあり、リンキティンクの方がインパクトが強かった。

□ ケーキ(オズの消えたプリンセス)

 自分を最優先するとても素直な女性。

□ ラベンダー・グマ(オズの消えたプリンセス)

 不思議な魔法(のアイテム)を使うクマ。テディベアの妖精とか魂とかだと思う。

□ ウート(オズのブリキの木樵り)

 流れ者の少年。あちこちを放浪している。木樵りとかかしの旅に付き合ったせいで、散々な目に遭った。

□ ニミー・エイミー(オズのブリキの木樵り)

 合理的(?)でかなり独特な思想の持主。かなりの美人。ブリキの木樵りの元婚約者。魔女に虐げられていたか弱い女性かと思いきや、ものすごく逞しい精神力を持っていた。

□ クー・クリップ(オズのブリキの木樵り)

 ニック・チョッパーとファイター大尉をブリキ人間にした職人。おまけに2人の身体のパーツを使って合成人間を作った。倫理的にはギリギリな感じがする。

□ ググ王(オズの魔法くらべ)

 シリーズでは珍しくちゃんとした支配者。

□ エルヴィック(オズのグリンダ)

 好青年。オズでは変な人が多いので、こういった人の方が珍しい。

 

■□■□悪者たち■□■□

■ 西の魔女(オズの魔法使い

 水が弱点。どうやって生きていたのか。

■ モンビ(オズの虹の国など)

 諸悪の根源。オズマを少年に変えてずっと育てていた。魔法の力を失い、たぶんオズマに老後の面倒はみてもらっている…はず。

■ ノーム王(ロークワット/ラゲドー)(オズのオズマ姫など)

 シリーズ最大の悪者。ドロシーとオズマにやられたことを根に持ち、常に復讐を企んでいる。が、特別な力を持っているわけではないため、いつも失敗している。

■ ガフ (オズのエメラルドの都)

 「オズのエメラルドの都」ではロークワットより目立っていた。悪事のためならどんな苦労も惜しまない。

■ カリコ(現ノーム王)(オズのエメラルドの都など)

 ラゲドーに比べてまともな支配者。打算的で非情なところがある。

■ ゴス・コル夫妻(オズのリンキティンク)

 野蛮な略奪者の長。船が難破したらしいので、たぶん死亡。

■ ウグ(オズの消えたプリンセス)

 オズマを誘拐したりオズ国内の魔法のアイテムを盗んだりと、オズの国を密かに危機に陥れた魔術師。ドロシーに敗れ、自らへの罰としてハトの姿でいることを選んだ。

■ ミセス・ユープ(オズのブリキの木樵り)

 存在自体がホラーみたいな魔女(の一種)。いちおう無害なものになったらしいが…。

■ キキ・アルー(オズの魔法くらべ)

 ラゲドーに協力している少年。変身の魔法が使える。利己的で苦労が嫌い、人を信用しない、意地悪など、いいところが一切描かれていない。小悪党。

 

■□キャラクターについて■□

 ドロシーが一番ふつうの女の子といったイメージで、オズマがものすごく特別な存在として描かれているのが対照的。トロットやベッツィを含め、女の子たちが仲が良いのは微笑ましいです。

 女の子たちは冒険においてそこまで成長を遂げた印象がなかった一方、男の子たちの方(オジョやインガ)は冒険を通してすごく成長したと思います。

 子どもたちに対して、グリンダは導く人、魔法使いは寄り添う人、ヘンリーおじさんやキャプテン・ビルは見守る人、エムおばさんは迎える人な印象でした。モジャボロは純粋で子どもたちに近い目線の人ですが、それでもちゃんと大人として子どもたちを見ています。

 人間以外のキャラクターたちは、大人でも子供でもない感じです。彼らは常識にとらわれない独特の価値観を持っていますが、友だちを大切にすることだけは共通しています。基本的にはみんなおおらかで、自分との違いが許容できる心の広さがあるため、言い合いになっても極端な仲違いにならないのでしょう。

 オズシリーズには色々な悪者たちが登場しましたが、迷惑度からいうとラゲドーが一番かと思います。ミセス・ユープやウグも厄介でしたが、「オズのグリンダ」に登場したクーイーオーはある意味もっとも難敵だったかもしれません。物語途中で自滅しましたが、その後も有能な魔法使いたちを苦しめたわけですから。

 

 

 

 

オズまとめ(4)主な登場人物

 前回こちらも一緒に…と思ったのですが、さすがに長すぎました。


■□■□主な登場人物■□■□
■ ドロシー
 ドロシー・ゲイル。シリーズの主人公で、多くの作品で主人公として活躍。しっかり者の現実主義者。どんな環境でも適応できるので、ちょっとやそっとのことでは動じない。王女の地位となっても素朴な性格はそのままで、誰からも愛されている。政治のことには興味がない(12歳くらいの普通の女の子なので当たり前か)。
■ オズマ
 シリーズの副主人公(だと思う)。オズの絶対的な支配者として君臨している美少女(妖精)。心優しい少女だが、支配者としての厳しさも持っている。常にオズの住人の幸せを考えていて、おそらくオズのために自分が犠牲になることも厭わないだろう。
■ 魔法使い
 寿限無並みの長い本名を略してOZ。元はただのペテン師だったが、グリンダにより本物の魔法使いとなる。陽気な老人で、かなりの切れ者。魔法使いとしてだけではなく政治家としてもかなり有能で、オズマの信頼できる側近。
■ グリンダ
 非常に強い力を持つ魔女。美しい女性で年齢不詳。沈着冷静で的確な判断を下す。オズの国の守護者のような存在で、オズマをサポートしている。選び抜かれた才能ある美少女たちが仕えていたり、白鳥(コウノトリ?)の空飛ぶチャリオットで移動したりと、女神っぽいイメージの人。
■ トト
 ドロシーの友だち。ペットというより相棒。犬の本能で行動するため色々なトラブルも引き起こす。偶にドロシーにこっぴどく叱られている。
■ かかし
 「脳みそ(=知恵)」を欲していたかかし。ジャックやスクラップスと違って、何故か初めから生きていたので、ある意味一番不思議な存在かも知れない。おおらかであまり悩まない性格で、人に好かれやすい。たぶん一番もてている。始めの頃は知恵者のイメージがあったが、シリーズが進むごとにどんどん愚かになって言った気がする。
■ ブリキの木樵り
 「心臓=(こころ)」を欲していたブリキの体をもつ木樵り。ウィンキーの国の皇帝で、ロマンチストでナルシストの完璧主義者。非常に高い理想をもっていて融通が利かない性格だが、どこか抜けているので憎めない。かかしとは無二の親友同士。
■ 臆病ライオン
 自分のことを臆病であると思い込んでいるため、「勇気」を求めていた。かかしや木こりにはない賢さや優しさを持っている。おそらく一番まともだが、それが災いしたのかちょっと影が薄い。
■ ヘンリーおじさん
 ドロシーの母方のおじだと思われる(たぶん)。厳格で頭が固そうなイメージだったが、意外と適応力があった。派手なことを好まない実直な農夫。
■ エムおばさん
 ドロシーのおばで、ヘンリーおじさんの妻。農場を切り盛りするしっかり者で、良くも悪くも庶民的な女性。
■ ジャック
 チップ少年(オズマ)が作ったカボチャ頭の人形。頭が熟れすぎてくると、自分で育てたカボチャで顔を作って新調する。あまり賢くない。
■ 木挽き台の馬
 チップ少年(オズマ)が木挽き台に生命を与えて作った馬。疲れ知らずでものすごく速く走れる。結構賢い。赤い馬車を引いてドロシーたちの旅をサポート。
■ ムシノスケ
 ヒキノバシ・ウォグル・ムシノシケ・ガクシャ。豊富な知識を自慢しすぎるため、あまり好かれていない。ものすごい合理主義者。
■ ジンジャー
 若い娘たちを率いてエメラルドの都でクーデターを起こした行動力のある女性。女性の権利を主張してオズの玉座を奪ったが、グリンダに打ち負かされた後は結婚してそれなりに幸せになった。…が、1人で生活しているようにしか思えない(別れたのか?)かかしを玉座から追い出した張本人だが、その後非常に良好な関係となり、かかしの身体のメンテナンスをしてやっている。
■ ジェリア・ジャム
 オズマの侍女。おしゃべりでうわさ好き。かかしと仲が良い。
■ ビリーナ 
 黄色いメンドリ。かなり気が強くマイペース。しっかり者で頭が良く、ドロシーに助言を与えることも多い。子どもたちすべてにドロシー、ダニエルの名前をつけている。
■ チクタク
 ロボット。考える、話す、動くをそれぞれのゼンマイを巻くことによって行う。ゼンマイが緩むと動作が止まってしまう。
■ 腹ぺこタイガー
 常にお腹を空かせていてアカンボを食べたがっているが、良心がそれをさせないらしい。
■ オンビー・アンビー
 レギュラーというほどではないが、偶に登場するオズの戦えない軍人。
■ ユリカ 
 ドロシーのピンクのコネコ。自由奔放。
■ モジャボロ
 モジャモジャの髪と髭でボロボロの服を着たおじさん。まあ、その風貌から束縛を好まない生き方をしていることは察しが付く。なんだかんだ言ってちゃんとした大人。
■ ボタン・ブライト
 しょっちゅう迷子になっている男の子。別に本人は困っていない。いちおうフィラデルフィア出身らしいが、どちらかというとおとぎの国から外の世界に迷い込んだような子。
■ ポリクローム
 踊ることが大好きな虹の妖精。食事は露や霧の華奢な美少女で、姉妹の中でもっとも好奇心が強くおてんばな末の妹。魔法を使うことができ、頭も良い。
■ オジョ
 後ろ向きだったマンチキンの少年。ナンキーおじさんと辺鄙なところに住んでいたため世界について殆ど知らずに育った。「オズのつぎはぎ娘」での冒険の末、人間的に大きく成長を遂げた。ボタン・ブライトと仲が良い。
■ スクラップス
 ピプト博士の妻マーゴロットの使用人として生を受けるはずだったが、オジョがでたらめに脳ミソを付け加えたせいでぶっ飛び娘になってしまった。かかしと違ってちゃんとした(?)効力のある脳ミソを入れてもらっているので知性は高い。
■ ガラスのネコ
 バングルという名前がある。ピンクの脳みそ、ルビーの心臓、エメラルドの瞳を持つ美しいガラスのネコ。高慢で、いつも自分の美しさを自慢している。冷たい性格だがおだてに弱い。生身の肉体ではなく疲れ知らずなので、世界のあちこちを見て回っている。
■ ウージイ
 立方体(もしくは直方体)の組み合わせでできた不思議な生き物。しっぽに三本の毛が生えている。あまり自分のことがわかっていない。スクラップスと仲良し。
■ ベッツィ
 ベッツィ・ボビン。オクラホマ出身でドロシーより1つ年上。気が強くて負けず嫌い…かと思っていたが、内気で大人しいとのこと。ドロシーに比べて落ち着いている。船が難破しておとぎの国に辿り着いたが、どういう経緯で船に乗っていたのかは不明。両親については何も書かれていないため、もともと親がいなかったのか、船が難破した際にはぐれた(もしくは死別した)のかは分からない。親に会いたいといった話が出てこないのでいずれにせよ両親は既にいないものと思われる。
■ ハンク
 ベッツィの親友のロバ。オズへ着いてから話せるようになった。愚かで短絡的なところがある。ベッツィのことが大好き。船で知り合ったのか元からの相棒だったのかは不明。
■ トロット
 カリフォルニアの女の子。通称タイニー・トロット。妖精の祝福を受けているらしい。ドロシーと同様、何度かおとぎの国を訪れており、ボタン・ブライトとは別の物語で一緒に冒険した仲。アメリカ3人娘の中で1番の年下で、ドロシーより1つ下。幼いながらもしっかり者で、恐いもの知らずなところもあるが無茶はしない。困難に直面しても道を切り拓けるタイプ。ベッツィと仲が良い(姉と妹みたいなものか?)。
■ キャプテン・ビル
 トロットの親友兼保護者。片足の船乗りだが、そこまで不自由でもなさそう。経験豊かで、トロットに比べて慎重(当たり前)。
 ヘンリーおじさんと立場が近いこともあって、酒を酌み交わす仲だったらいいなぁと思う。
■ カエルマン
 1話限りのゲストキャラだと思っていたら、まさかのレギュラー。しかもオズマの相談役。虚栄心の塊のような性格だったが、真実の池に入ったため本当のことしか言えなくなった。ムシノスケに比べて謙虚(?)で、友人想いな面もある。
 

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 あまりわかりやすくない相関図。絵が描けないのでオートシェイプで作ってみました。公式絵がないためかなり適当です。イメージと違っていたらすみません。それにしてもおじさんが多かった。

 

オズまとめ(3)作品一覧など

 今更ですが、おさらいで。オズシリーズの基本情報(?)というか、自分の備忘録。思った以上に長くなったので途中で切って分けました。

 

■□■□作品一覧■□■□

* ゲスト=その作品だけのメインキャラ(あくまでも私の主観なので、微妙なところもあるかと)。二度と他作品には出てこない。

  太文字は主人公。

1. The Wonderful Wizard of Oz(1900)『オズの魔法使い』(1)

 とても有名な第1作目。ドロシーとその仲間たちがそれぞれの場所へと帰るまで。

 初:ドロシー、トト、かかし、ブリキの木樵り、臆病ライオン、魔法使い、グリンダ

 敵:西の魔女

2. The Marvelous Land of Oz(1904)『オズの虹の国』(2)

 王都奪還。オズマがオズの正統な支配者となる。

 初:オズマ(チップ)、ジャック、木挽き台の馬、ムシノスケ、ジンジャー、ジェリア・ジャム

 敵:モンビ、ジンジャー

3. Ozma of Oz(1907)『オズのオズマ姫』(3)

 ドロシーとオズマの出会い編。ノーム王も初登場。エヴ王家を救うお話。

 初:ビリーナ(黄色いメンドリ)、チクタク、腹ぺこタイガー、オンビー・アンビー

 敵:ノーム王(ロークワット)

 ゲスト:エヴ王家の者

4. Dorothy and the Wizard in Oz(1908)『オズと不思議な地下の国』(9)

 ドロシーとオズ(魔法使い)の再会。不思議な国での旅。

 初:ユリカ(ピンクのコネコ)

 ゲスト:ゼブ、ジム

5. The Road to Oz(1909)『オズへつづく道』(10)

 ドロシーがオズマの誕生日パーティーに招待される。

 初:モジャボロ、ボタン・ブライト、ポリクローム

 ゲスト:作者(ボーム)の別作品の登場人物たち

6. The Emerald City of Oz(1910)『オズのエメラルドの都』(4)

 ドロシーたち一家がオズへ移住。ドロシーたちのオズ旅行の裏で企てられるノーム王の復讐。

 敵:ノーム王(ロークワット)

7. The Patchwork Girl of Oz(1913)『オズのつぎはぎ娘』(5)

 オジョが石像となったおじさんを助けるために旅立つ。

 初:オジョ、スクラップス、ガラスのネコ(バングル)、ウージイ

8. Tik-tok of Oz(1914)『オズのチクタク』(6)

 ベッツィが弟を探すモジャボロとともノームの国を冒険する。

 初:ベッツィ、ハンク

 ゲスト:バラの王女(オズガ)、アン女王、ヤスリのジョー、クオックス

 敵:ノーム王(ラゲドー(=ロークワット))

9. The Scarecrow of Oz(1915)『オズのかかし』(7)

 トロットとキャプテン・ビルが色々な不思議の国を冒険する。

 初:トロット、キャプテン・ビル

 ゲスト:オーク、(グロリア、ポン)

 敵:レイコク王、カッタメ

10.Rinkitink in Oz(1916)『オズのリンキティンク』(11)

 国を滅ぼされた王子が奪われたものを取り戻すために旅立つ。

 ゲスト:インガ王子、リンキティンク王、ビルビル

 敵:ゴス王、コル女王、ノーム王(カリコ)

11.The Lost Princess of Oz(1917)『オズの消えたプリンセス』(12)

 行方不明となったオズマを救出し、奪われた魔法を取り戻す。

 初:カエルマン

 ゲスト:ケーキ、ラベンダー・グマ

 敵:ウグ

12.The Tin Woodman of Oz(1918)『オズのブリキの木樵り』(8)

 ブリキの木樵りが元婚約者に会いに行く。

 ゲスト:ウート、ファイター大尉

 敵:ミセス・ユープ

13.The Magic of Oz(1919)『オズの魔法くらべ』(13)

 オズマの誕生日プレゼントを手に入れる冒険の裏で企てられるラゲドーの復讐。

 ゲスト:ググ王、ググの森の動物たち

 敵:キキ、ラゲドー

14.Glinda of Oz(1920)『オズのグリンダ』(14)

 オズの辺境の国での争いを止めるために赴いたものの、閉じ込められてしまったオズマとドロシーを助けに行く仲間たち。

 ゲスト:エルヴィック、レディ・オーレックス

 

* 邦題後ろのカッコ内の数字はハヤカワ文庫での出版順です。『オズのブリキの木樵り』の順番は今初めて知りました。結構後に書かれた作品だったんだ;妖精の女王ラーラインの件に違和感を覚えた理由がわかった気がする…。

 文字の色ですが、青→本編緑→番外編黄色→外伝といった印象で分けています。人によって印象が違うとは思いますが。

 

■□■□オズの国と周辺国■□■□

 オズはエメラルドの都を中心として東西南北に分かれていて、それぞれの土地にイメージカラーみたいなのがあります。東→マンチキン(青)、西→ウィンキー(黄)、南→カドリング(赤)、北→ギリキン(紫)となっています。

 エメラルドの都に住むオズマがオズの支配者ですが、完全に支配しているわけではないみたいです。というのも、辺境の土地に住む者たちは自分たちの住んでいるところの支配者しか知らないことも多く、オズマの存在を知らないことも結構あります。そのうえ、オズマ自体もオズ全土について把握しているわけではありません。そんなわけで、お互いの存在を知って初めて支配者と被支配者の関係になる感じみたいです(この辺りでそこまでややこしいことにならないのがオズだと思う。いきなり現れた人に「ここは私の土地だからこれからは私に従ってね」などと言われて簡単に「はいそうですか」となるだろうか)。

 何となく作ってみました。

 地名の後ろのカッコつきの数字は作品の番号です。位置関係はまったく正確ではありません。ウーガブーについてはどこにあるのかわからなかったので、適当です。

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 こうやってみると、ウィンキーとカドリングが多いです。ギリキンがもっとも未開みたいなことが書いてありましたが、確かにあまりギリキンの国は登場してないです。カドリングは不思議な生き物たちの住む国、ウィンキーとマンチキンが生活の拠点となりやすい国なイメージですかね。ウィンキー=工業国、マンチキン=農業国みたいな気がします。

  ついでにオズと周辺国が下の図。

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 これまただいぶ適当です。いちおう本にある地図(?)を参考にしたので、位置関係はそこまで間違ってないと思います…。

 ちなみに地底世界も広がっています。 海は私たちの住んでいる、いわゆる「外の世界」とつながっているみたいです。それ以外でも、空や死の砂漠、地底も外の世界とつながっているようです。おとぎの国の入り口はどこにでもあるのでしょう。