びんのなか

想い出話や感想文など。読書メモが多め。ネタバレだらけです。

はてしない物語(2)

 お久し振りです…。

 登場人物の関係上あまり端折れなかったせいで、あらすじがとにかく長いです。途中、面倒くさくなってかなり雑になりました。

 

 

■ あらすじ(後半)

 バスチアンは心地よい闇の中に浮かんでいた。新たに月の子(モンデンキント)と名付けられた幼ごころの君は、バスチアンに一粒の砂を渡す。それは無に還ったファンタージエンを新たに創り出すための希望の種子だった。そして、バスチアンの目の前に広がっていく森に「夜の森ペレリン」と名付ける。

 幼ごころの君はバスチアンに「なぜすぐにファンタージエンに来て助けてくれなかったのか」と問う。バスチアンは自分の不格好な姿が恥ずかしかったから、と答える。しかし、バスチアンは美しいどこかの王子のような姿に変わっていた。驚くバスチアンが振り返ると、そこにはもう幼ごころ君の姿はなかった。そのかわりに彼の首にはあのアウリンがかかっていた。アウリンの裏側には「汝の欲することをなせ」と記されていた。美しい姿となったバスチアンは、かつての自分の姿の記憶を失っていた。彼は次に強くなりたいと願う。森はますます大きく広がっていった。

 強くなりたいという願いが満たされたのと同時に、森の生長は止まった。そして、自分の弱さや不器用さの記憶を失う。彼が望みを叶えるたびに記憶が失われていくが、それに気付くことはなかった。

 森に飽きたバスチアンは、「色の砂漠ゴアプ」を作り出し、さらに自分の勇気を証明するための危険な生き物の存在を願う。そこに現れたのは砂漠の主、グラオーグラマーンと名乗る強大なライオンだった。ライオンはバスチアンを「ご主人様」と呼ぶ。夜に死んで朝に甦る運命のライオンの存在意義を見出したバスチアンは、魔法の剣<シカンダ>を手に入れる。この剣は無敵の剣で、ひとりでにバスチアンを助けてくれるものだが、自らの意思で鞘から抜くことはできないという。

 新しく「これ以上ひとりぼっちでいたくない」という望みを持ったバスチアンは、次の道へと続く扉を見つける。バスチアンはライオンに別れを告げて扉の向こうに進んだ。

 バスチアンが出てきたのは小さな森の礼拝堂だった。そこで出会ったのは、勇士ヒンレックとオグラマール姫、ヒンレックの友人の三騎士ヒクリオン、ヒスバルト、ヒドルンだった。彼らは競技大会に出るために、アマルガントという都へ向かっていた。この競技大会で勝ち残った三名のみが、「救い主」の捜索隊に参加することができるのだという。「救い主」とはすなわち、ファンタージエンを救ってくれた者―つまりバスチアンのことだった。競技大会の主催者は銀翁ケルコバートだったが、審判はアトレーユだった。バスチアンはとりあえず自分が「救い主」であることは黙っていることにして、彼らに同行する。バスチアンは一行が連れていたらばのイハに乗せてもらうことにしたが、この老いた雌のらばは、バスチアンの正体に気付いていた。

 競技大会の会場にはアトレーユとフッフールの姿があった。ヒンレックを打ち負かしたバスチアンは優勝してアトレーユと握手を交わした。バスチアンがアウリンを持っていることにアトレーユは驚いていた。

 バスチアンは、持ち前の想像力で次々とこの世界の物語(歴史)を紡いでいく。アウリンの力で彼の望みは次々と叶えられていくのだった。アマルガントを後にして、バスチアンはイハを伴い、アトレーユとフッフール、三騎士とともに旅立つ。

 アトレーユはバスチアンが願いを叶える度に元の世界の記憶を失っていくことに気付き、彼に忠告する。アトレーユはバスチアンが元の世界に帰らなければならないと考えていた。バスチアンも元の世界に戻らなくてはならないと考え、エルフェンバイン塔を目指すことにする。道中、バスチアンの名声を聞いた魔鬼やトロルなど色々な種族の者たちが一行に加わっていくのだった。

 一行に加わった者からの情報で、魔の城ホロークに向かうことにしたバスチアン。バスチアンがすべてを失うことを懸念したアトレーユは、アウリンを自分に渡すよう提案する。当然のことながらバスチアンはそれを拒絶する。その後、ホローク城の主人、女魔術師のサイーデはバスチアンに降伏して一行に加わる。だが、サイーデは己の野心のためにバスチアンに近づいたにすぎなかった。サイーデの邪心に気付いていたアトレーユはバスチアンに忠告するが、バスチアンがそれを聞き入れることはなかった。

 サイーデに唆されたバスチアンは、新たな物語を与えてイハを追い出し、その代わりにサイーデの輿で移動するようになる。そしてサイーデから、姿を見えなくする<ゲマルの帯>を受け取る。

 星僧院に立ち寄った後一行は、エルフェンバイン塔の近くまでやって来る。しかし、塔に幼ごころの君はいないことを使者の報せで知る。やり場のない気持ちを抱えながら、<ゲマルの帯>で姿を消したバスチアンは、アトレーユとフッフールがアウリンを盗む計画を立てているところを聞く。そして、彼らを捕らえて追放したのだった。

 サイーデの口車に乗ったバスチアンは、幼ごころの君の代わりに自分がファンタージエンの帝王となると宣言する。エルフェンバイン塔を乗っ取り、即位式が執り行われるはずだったが、アトレーユ率いる反乱軍が攻めてきて戦場と化す。アトレーユと対峙したバスチアンは自らの意思でシカンダを抜いて、彼に切りかかった。傷ついた彼が塔から落ちていく時、フッフールがつかんで飛び去っていった。

 燃え盛るエルフェンバイン塔を後にして、バスチアンはアトレーユに憎悪の念を募らせ、従者たちを置いてひたすら闇の中を進んでいく。進んだ先に辿り着いたのは狂気に満ちた人々が徘徊する町だった。人々の監視人だという猿のアーガックスによると、この町の人々はみな、かつてバスチアンと同じようにアウリンを手にして記憶をすべて失ったという。バスチアンは己の過ちに気付き、町を出る。そしてシカンダを手放した。

 「変わる家」を訪れたバスチアンは、家の主アイゥオーラおばさまにもてなされる。彼女はアウリンの真の意味を話す。「生命の水の湧き出る泉」を見つければ、帰ることができるのだと。そして、「真の意志」つまり「最後の望み」を見つけるまでこの家で過ごすよう告げる。「最後の望み」を見つけたバスチアンはアイゥオーラおばさまに別れを告げて出発する。彼はもう自分の名前以外の記憶をすべて失っていた。

 バスチアンは「絵の採掘場」でヨルから「人間世界の忘れられた夢」の絵を見つけるよう言われる。生命の水からの問いに答えるために「絵」が助けてくれるのだという。長い時間をかけてやっと絵を探し当てたものの、そのために最後の記憶である自分の名前を失ってしまう。

 最後の記憶を手放して手に入れた絵だったが、以前彼の無責任な願いで変身した蛾のいやがらせで粉々に砕け散ってしまう。絶望に打ちひしがれるバスチアンの視線の先にいたのはアトレーユとフッフールだった。

 バスチアンがアトレーユの前でアウリンを地面に置くと光が放たれ、そこは広いドームとなっていた。彼らの目の前には、巨大な二匹に蛇が互いに尾を噛んで環となり横たわっていて、そこから生命の水が湧き出していた。生命の水の問いかけには、記憶のないバスチアンに代わりアトレーユが答える。アトレーユのおかげで生命の水を飲むことで、アウリンの力で得たものをすべて返し、失ったすべての記憶を取り戻す。ファンタージエンでやり残したことはアトレーユが引き継ぐことになり、バスチアンは帰ることが認められる。そして、やっと彼は元の世界へと戻ることができたのだった。

 家に帰ると、憔悴した父が待っていた。バスチアンが行方不明となっていたのは、一日だけだった。バスチアンは父にファンタージエンで体験したことを話す。父は息子の変化に驚く。バスチアンはコレアンダーのところへ行き、本を盗んだことを謝罪する。だが、コレアンダーはそんな本は知らないという。バスチアンは彼にもファンタージエンでの出来事を話す。そこで、実はコレアンダーもファンタージエンへ行って帰ってきた者であったことを知るのだった。

 

■ 登場人物

 水色 … 元の世界の登場人物。

  … ファンタージエンの主要人物。

 青緑 … ファンタージエンでバスチアンを導く役割を持つ人物。

 といった感じで一部キャラクターには色を付けています。

 

▪ バスチアン

 ファンタージエンの英雄となった少年。アウリンの力で自分のコンプレックスを全て消して、容姿端麗で強くて勇敢な少年へと変化する。かつてのコンプレックスの塊のような自身のことは忘れてしまった。ファンタージエンを自分の思いのままに創り出すことができるため、傲慢な性格となっていく。

 ファンタージエンでの冒険の末、彼の本当の願い「愛すること」を見つけ出すことで、大きく成長した。

▪ バスチアンの父

 歯科技工士。妻を失ったことがきっかけで、息子に対して無関心になっていた。バスチアンが家に戻ってきてからは、息子に向き合って愛情深く接するようになった。

▪ アトレーユ

 バスチアンの親友。バスチアンが道を誤るたびに厳しい言葉をかけていたため、疎まれる。最後の最後までバスチアンを見捨てることなく、彼が元の世界へ帰るのを助けた。

▪ フッフール

 アトレーユの相棒の竜。常にアトレーユに寄り添い、彼と同様バスチアンが元の世界へ帰るのを助ける。

▪ コレアンダー

 バスチアンが「はてしない物語」と出会った本屋の店主。彼もまたファンタージエンへ行って戻ることができた者。気難しい性格のようだが、バスチアンとはよき友人となったようだ。

▪ 月の子(モンデンキント)

 幼ごころの君。ファンタージエンの絶対的存在。彼女には一度きりしか会うことができない。このため、バスチアンたちがエルフェンバイン塔に行ってもそこに彼女はいなかった。(閉ざされたもくれん宮にいるのか?)

▪ グラオーグラマーン

 バスチアンがファンタージエンに来て最初に遭遇した者(幼ごころの君を除く)。色の砂漠ゴアプに住むライオン。毎晩夜になると死に、朝になると甦る。バスチアンにシカンダを与え、ファンタージエンで彼がなすべきことなどを伝える案内人のような役。

▪ ヒンレック

 勇士。自信家。競技大会へ出場するためにアマルガントへ向かっていたところ、バスチアンと出会う。オグラマール姫の心が離れたことにショックを受ける彼のために新たな物語が作られ、バスチアンたちと別れる。

▪ 三人の騎士

 ヒクリオン(力)、ヒスバルト(速)、ヒドルン(耐)。バスチアンがファンタージエン制圧に失敗するまでずっと付き従っていた。

▪ オグラマール姫

 強い者を求める姫君。バスチアンに敗れたヒンレックを捨てるが、バスチアンの作り出した物語の中で活躍した彼に再び心を寄せる。

▪ イハ

 ヒンレックたちの食糧袋を運ぶ年取った牝のらば。サイーデが同行するまでバスチアンを乗せていた。聡明でバスチアンに忠実。

▪ アッハライ

 バスチアンが創造したアマルガントの伝説に登場した芋虫。アマルガントの美しい銀細工を作り出すが、非常に醜い姿を持っておりそのことを嘆いている。別の姿を求める彼らの願いを叶えるべくバスチアンはアウリンの力を使う。これによりシュラムッフェンという蛾の姿に変わる。しかしバスチアンの想像をはるかに超えた変貌を遂げた彼らは、狂気を宿した道化蛾となる。物語終盤でバスチアンにとって最後の希望となるものを粉砕する。バスチアンの過ちの象徴的存在。

▪ イルアン

 ヒクリオンたちと旅をするバスチアンを最初に訪問したファンタージエンの住人の1人。青い魔鬼(ジン)。

▪ サイーデ

 魔の城ホロークに住む女魔術師。強い力を持ち、性悪なことで有名らしい。中身が空っぽの黒甲冑を操る。バスチアンが「みなに怖れられる存在になりたい」という願望から生まれた。バスチアンを己の欲望のために利用しようとしていたが、バスチアンがエルフェンバイン塔の制圧に失敗したことで、彼女の野望も潰えた。

▪ 沈思黙考の三師

 知の僧たちの道場、星僧院にいる三名の院長。観照の父シルクリー(鷲)、予感の母ウシュトゥー(ふくろう)、怜悧の息子イージプー(狐)。バスチアンの「大いなる知恵者」となりたいという願いから生まれた。バスチアンに「はてしない物語」がどこに書かれているのか問う。彼らの姿は、バスチアンが「はてしない物語」を読んでいた学校の物置にあった剥製の姿が反映されている。

▪ アーガックス

 「元帝王たちの都」の監視人の小猿。ファンタージエンに来て帰ることができなくなった人間たちを観察している。バスチアンが犯した過ちを気付かせた。

▪ イスカールナリ

 バスチアンが孤独に耐え切れず生み出した。イスカールの町に住む者たちで、すべての者が同じ姿、同じ意思を持っている。個人の意思は存在しない共同体。

▪ アイゥオーラおばさま

 あらゆるものを失って疲弊したバスチアンを迎えて癒す。アウリンの真実の力を伝え、彼の「本当の望み」を見つける手助けをした。

▪ ヨル

 「生命の水」を見つけられない者のために存在している。記憶の絵の採掘場(ミンロウド坑)にいる盲目の坑夫。バスチアンに必要な「絵」を掘り出せるよう導く。

 

 

 長くなったので、あらすじと登場人物のみにしました。感想や他に書きたいことは、次にします。早く書けたらいいな…。