最近昔の作品のアニメのリメイクが流行っているみたいですね。私が「高橋留美子」の名前を知ったのが「らんま1/2」だったので、ネットのニュースを見て懐かしいなーと思いました。
私は「犬夜叉」の途中で挫折してしまい、それ以降の作品は読んでいませんが、それでも好きな漫画家さんです。個人的には連載物より短編の方が面白いと思っています。
特別ではない、ごく普通の人たちの悲喜こもごもが描かれた作品は、どれもとても味わい深い面白さがあります。ありふれた日常がテーマとなっていることが多いので、主人公たちに共感しやすいのです。
そんな数ある短編の中で一番好きなのが「赤い花束」です。これはもう、何度読んでも泣けます。今回久し振りに読み直しましたが、結末が分かっていてもやはり泣きました。
夫婦や嫁姑、介護など、どれも家族関係を描いた短編集です。
表題作にもなっているこの作品は、死んで幽霊となった中年サラリーマンが、通夜の様子を見ながら自分の生前を振り返るお話です。この主人公は、本当にごく普通の人です。仕事一筋で家庭をあまり顧みない(そんな余裕もなかった)、平成中期頃まではこんな人多かったんじゃないでしょうか。家族のため、会社のために必死に働いてきたにもかかわらず、家族とは距離ができてしまったうえに、会社ではリストラ対象となるという。
「このまま生きていても仕方がないよな」と思ってしまいそうな、通夜での妻や息子、同僚たちの会話。家族とのすれ違いに後悔の念を抱いても、もうどうすることもできない。なんかもうやりきれない感じの主人公ですが、最後の最後でどんでん返し(?)があります。妻の表情とセリフ、主人公のモノローグに、主人公の「死」が本当に悲しいものだと感じさせられます。死んだ後に心が通じたことが切ないです。
最後に妻が心から夫の死を悲しむことによって、主人公の人生は報われたのではないかと思います。きっとこのあと、この世に未練を残すことなく旅立てるのでしょう。
短い物語の中でしっかり泣かせられる構成はすごいと思います。それまでの会話に花束の伏線があって、それがあるからこそ主人公の想いが伝わって切なくなります。
「赤い花束」以外もこの短編集の作品はどれも共感しやすくて面白かったです。「義理のバカンス」や「ヘルプ」も、身近な内容で主人公たちの気持ちがよくわかります。特に経験がなくても、なんか共感できるんですよね。
あと、短編だと初期のホラー系のも好きです。「闇をかけるまなざし」が印象的でした。瞳という少年の無邪気な残酷さが恐ろしかったです。キャラクター的には「人魚の傷」に登場する真人と近いかも。人魚シリーズ、また描いてくれないかな。
