びんのなか

想い出話や感想文など。読書メモが多め。ネタバレだらけです。

十二国記(17) 戴まとめ

 「白銀の墟 玄の月」…というか戴関連まとめ。登場人物一覧といっても過言ではない。めちゃくちゃ多かったので、抜けているところもあるかもしれません。

 

 

■■ 作品一覧(時系列順)

▫ 魔性の子(「風の海 迷宮の岸」~「黄昏の岸 暁の天」の裏側の物語)

▪ 風の海 迷宮の岸

▪ 冬栄(「華胥の幽夢」より)

▪ 黄昏の岸 暁の天

▪ 白銀の墟 玄の月

 

■■ 経緯

▪ 卵果が流され行方不明となっていた泰麒が十年ぶりに帰還。驍宗が泰王に選定される。

▪ 驍宗登極半年くらいで阿選が謀反を起こし玉座を奪う。驍宗・泰麒は行方不明に。

▪ 六年後、他国の協力を得て泰麒が帰還。

▪ 驍宗が帰還、阿選を討ち玉座を取り戻す。

 

■■ 登場人物

 太字は主要人物(個人的見解)。

 薄い色の字は死亡、行方不明、魂魄を抜かれたなど物語から離脱した人。

 色分けは感覚的なものなので、あまり気にしないでください。大雑把に言えば、青→泰麒・驍宗の味方や近しい人、赤→泰麒・驍宗と敵対関係にある人、緑→李斎たちの協力者など、黄色→物語に深く関わる一般人…といった感じ。ちなみに黒字はそこまで大きく物語に関わっていなそうな人や詳細不明の人です。

 ”▫”は”▪”の部下。

 ★は驍宗麾下。

 ☆は阿選麾下。

 

▪ 泰麒

 戴の麒麟。卵果が蝕によって蓬莱に流されたため十歳になるまで日本で育つ。蓬山へ帰還後驍宗を王に選ぶが、阿選の謀反により鳴蝕を起こし再び蓬莱へ。記憶を失い再び生家での生活を送る中で使令が暴走し多くの悲劇を生み出す。六年後迎えが来て戴へ戻り、驍宗の捜索と玉座の奪還を目指す。

▪ 驍宗

 泰麒に選ばれた戴の王。治世わずか半年程度のところで阿選の謀反に遭い行方不明となってしまう。

<禁軍>

▪ 巌趙 ★

 左軍将軍。正頼救出の際に姿を消す。

▫ 杉登 

 阿選謀反後は品堅の部下となる。

▪ 英章 ★

 中軍将軍。かなりの切れ者。馬州に潜伏していた。

▫ 項梁

 軍解散後当てのない旅を続けていたが、泰麒・李斎と出会う。

▫ 俐珪

 英章の軍の連絡の要であったはずだが…。彼に何があったのかは不明。

▫ 剛平

 詳細不明。

▫ 基寮

 俐珪の前任者。文州師将軍となっていた。老安で匿われていたが死亡。

▪ 阿選

 右軍将軍。前王の頃は驍宗の良きライバルであった。シリーズの核となる問題を作った張本人。

<瑞州師>

▪ 霜元 ★

 左軍将軍。

▫ 崖刮

 霜元の側近。

▫ 浩歌

 霜元の側近。馬州で英章と出会う。

▫ 癸魯

 霜元の部下。死亡。

▫ 彤矢

 霜元の部下。死亡(?)

▪ 李斎 

 中軍将軍。戴の真の救世主。

▫ 泓宏

 李斎の部下。合流後は李斎の側にいた。

▫ 光祐

 李斎の部下。墨幟の戦いには間に合わなかった。鴻基で驍宗救出後に合流。

▪ 臥信 ★

 右軍将軍。藍州に潜伏していた。

▫ 静之

 神農と行動を共にしていたが、李斎たちと出会い合流。死亡(?)

<(旧)六官>

▪ 詠仲

 冢宰。死亡。

▪ 皆白 ★

 天官長。鳴蝕の際行方不明となっていたが、驍宗帰還後合流。

▫ 嘉磬

 皆白の右腕。恵棟の後瑞州の州宰となるが処刑される。

▪ 宣角

 地官長。処刑される。

▪ 張運

 春官長→冢宰。やりたい放題していたが自滅。

▪ 芭墨 ★

 夏官長。阿選謀反発覚後に出奔するも処刑される。

▪ 花影

 秋官長。垂州で李斎と別れるが、地元の藍州へ戻っており驍宗帰還後合流。

▪ 琅燦 ★

 冬官長→太師。驍宗への忠誠心はあるが、阿選を唆し玉座の簒奪に手を貸した。 

 <その他1(泰麒・驍宗側)>

▪ 正頼 ★

 瑞州の令尹。泰麒の面倒を見てくれていた。阿選に囚われ拷問を受け続けていた。

▪ 潭翠

 泰麒の大僕だった。生死不明。

▪ 耶利

 唯一無二の「主」に忠誠を誓っている。泰麒に対してもその人柄に敬意を抱く。

▪ 文遠

 黄医。魂魄を抜かれた(?)

▪ 徳裕

 医官。魂魄を抜かれた(?)

▪ 潤達

 医官

<その他2(阿選側)>

▪ (現)六官

天官長:立昌 地官長:哥錫 春官長:懸珠 夏官長:叔容 ☆ 秋官長:橋松

* 冬官長は登場せず。

▪ 案作

 冢宰補→冢宰。張運を唆して巧く立ち回っていた。

▪ 士遜

 張運の手下。張運に見捨てられたことで張運を道連れにする。

▪ 伏勝 ☆  小臣。午月、駹淑の上官。恐らく死亡。

▪ 午月 ☆  小臣。恐らく死亡。

▪ 駹淑    小臣。午月の後輩。

▪ 品堅 ☆  (現)禁軍将軍…なのだろうか。

▫ 帰泉 ☆  品堅の部下。死亡。

▪ 友尚 ☆  (現)禁軍将軍。だったが、函養山の捜索の際に李斎たちに敗北し、李斎たち側に付く。

▫ 弦雄  友尚の部下。 

▫ 長天  友尚の部下。

▫ 士真  友尚の部下。

▫ 宣施  友尚の部下。

▪ 成行

 禁軍将軍。

▪ 恵棟 ☆

 阿選の麾下であったが、泰麒に傾倒していく。魂魄を抜かれた。

▪ 烏衡

 驍宗襲撃の実行犯。結局阿選に切り捨てられる。

▪ 浹和

 女御。立昌(張運?)の間者で泰麒達の動向を監視していた。魂魄を抜かれた。

▪ 平仲

 天官寺人。泰麒が白圭宮に戻った際の世話役。魂魄を抜かれた。

<瑞雲観系>

▪ 去思

 序盤から李斎たちと行動を共にし、最後まで見届ける。

▪ 淵澄

 驍宗の玉座奪還前に永眠。

▪ 喜溢

 浮丘院の道士。李斎たちの側で惜しみない協力をする。

▪ 如翰

 浮丘院の監院。

<神農>

▪ 酆都

 序盤から李斎たちと行動を共にしていた。死亡。

▪ 習行

 静之を助けた。

▪ 余沢

 習行の弟子。死亡。

<土匪>

▪ 朽桟

 函養山を取仕切る土匪のリーダー。死亡。

▫ 赤比

 朽桟の右腕。

▫ 杵臼

 朽桟の部下。死亡。

▫ 仲活

 朽桟の部下。

▪ 此勇

 朽桟の(義)息子。死亡(?)

▪ 方順

 朽桟の(義)息子で此勇の弟。

<牙門観の関係者>

▪ 赴葆葉

 牙門観の主の大富豪。死亡(?)

▪ 博牛

 牙門観で侠客たちのまとめ役を担っていた。死亡(?)

▫ 夕麗

 元英章軍。李斎を慕っている。死亡(?)

▪ 敦厚

 赴葆葉に協力している文州の冬官長。

▪ 詳悉

 元文州師。

▪ 端直

 荒民で白琅に逃げ込んでいた。

<石林観系>

▪ 沐雨 

 石林観の首座。元朱旌で「玄管」から重要な情報を受け取っていた。

▪ 梳道  

 石林観系の道士。死亡(?)

<高卓戒壇

▪ 道範  

 高卓戒壇の首座。

▪ 空正

 檀法寺の僧侶。死亡(?)

▪ 清玄 

  瑞雲観系の道士。死亡(?)

<その他>

▪ 建中

 琳宇の差配。李斎たちの案内役。

▪ 同仁

 東架(去思たちが身を寄せていた里)の里宰。

▪ 園糸と栗

 項梁が旅に付き合っていた親子。東架の里で暮らしている。

▪ 茂休

 老安(基寮が匿われていた里)の里宰輔。

▪ 回生

 老安で基寮を世話していた少年。

▪ 春水

 白幟の女性。

▪ 文州の里に住む親子

 函養山に向かって毎月供物を流し続けている。父と三人の子どもがいたが、姉が死亡(餓死)する。知らずのうちに驍宗の命を救っていた。

▪ 定摂

 とある里の閭胥。

▪ 彦衛

 定摂の幼馴染。墨幟たちの敗北のきっかけを作った。

 

■■ 気になった点まとめ

 前に散々感想やら疑問点など書いたので、ほぼ同じような内容…。

▪ 琅燦の思惑とその後

▪ 結局李斎の送った阿選謀反の報せを阿選はどうやって知ったのか

▪ 英章の部下たち(俐珪、剛平)の行方

▪ 草洽平って何者?

▪ 潭翠(泰麒の大僕だった人)の行方

▪ 博牛とは何者だったのか

▪ 冬官長の存在 → 六官が揃う場面はあるものの一切登場しなかった

▪ 項梁のその後

 

 他にも色々あったと思いますが、ぱっと思いついたのはこのあたり。

 

以下、私の思い入れのある人たちについて色々。

 

■■ 離脱が残念だった人たち

▪ 酆都

 好きなキャラクターだっただけにかなりショックだった。

▪ 恵棟

 気の毒としか言いようがない…。感情移入しやすい人だったので余計につらい。阿選の非道さがよく表れていた。

▪ 巌趙

 活躍の場がほとんどなかったのが残念。驍宗にとっても大切な存在だっただけに、もう少し丁寧に描いて欲しかった気もする。できれば生きていてほしい。

▪ 朽桟

 最後まで生き残ると思っていたのでびっくりした。

▪ 赴葆葉

 結果だけ見ると彼女のやってきたことがすべて無駄になった(というか何も役に立たなかった)ことが悲しかった。

▪ 飛燕

 李斎にとっては片腕を失った時以上に辛かったんじゃないかと思う。

 

 残念…というか気の毒だったのは帰泉。あんなに阿選のことを慕っていたのに。阿選が完全に闇に堕ちて人の心を手放したのは、驍宗の生存を実感したことが切っ掛けとなったのかな。午月や伏勝もそうですが、過去のきれいだった(?)自分を慕ってくれる者たちの存在は、自分の過ちが照らされるようで耐えられなかったようにも思えます。

 静之の場合は、<死亡>という直接的な表現がなかったためか、そこまで衝撃はなかったです。真面目で誠実、熱いところのある人物でしたが、中盤から合流した霜元に押されて(私の中で)存在感が薄くなったからかもしれません。

 

■■ 生き残ってくれて嬉しかった人たち

▪ 驍宗 ← あたりまえ

▪ 去思

 酆都が死んでしまったので余計に生きていて本当によかった。

▪ 花影

 「黄昏の岸 暁の天」の頃からずっと気になっていたので、ほっとしました。

▪ 喜溢、建中

 何も言及されていなかったので、たぶん生き残ったと思います。こういう人たちが戴を支えてくれるはず。朽桟や赴葆葉にも生きて何かしら戴に関わってほしかった。

 

 離脱者は多いけど、驍宗に近しい人たち(というか前作から登場していた人たち)は殆ど生きていました。そう思うと芭墨の死は残念(宣角もですが)。

  

■■ 存在感の強かった人たち

▪ 阿選

▪ 琅燦

▪ 赴葆葉

▪ 朽桟

▪ 沐雨

▪ 英章 

▪ 彦衛

 

 英章が登場したのってほとんど最後。にも拘らずすごくいいところで登場したせいか、やたらとインパクトが強かったです。赴葆葉は<女帝>という言葉が合いそうな人でした。

  ある意味彦衛は物語のキーパーソンだと思います。戴の民の心の闇を具現化した感じで。供物を捧げ続ける親子とは対照的な役柄でした。きっとこちらの方が大多数で、国が安定していたらただ幸せに生きてく人たちなのでしょう。

 

■■ 主要キャラについて

▪ 泰麒

 天に嫌われているとしか思えないくらい苦難の連続でした。そういった意味では<戴>の国そのもののようにも感じられます。彼にとって幸せな時間は本当に僅かなものだったので、今度こそ落ち着いて欲しいです。つかみどころのない儚いイメージの人でした。伝説的な妖魔を使役にしたり、麒麟の本性に抗うなど、シリーズの主役に相応しい特別な麒麟だと思います。

▪ 驍宗

 「魔性の子」から考えると、ものすごく長い間行方不明になっていたんだなあとしみじみ思います。そして彼が玉座を取り戻すために払われた犠牲の大きさを考えると胸が痛みます。それでも驍宗の方に天が味方したということは、きっと<戴>が驍宗という王を必要としているのでしょう。泰麒とともに奏や雁のような息の長い国を作ってほしいです。

▪ 李斎

 大切なものを失い続けた人。しつこいようですが、花影が生きていて本当によかったです。特に秀でた何かがあったわけではないけれど、行動力だけは他の追随を許さないと思います。情に厚い人間味のある親しみやすい人でした。

▪ 項梁

 今作の最初と最後を飾るという、重要な役割を持った人。ですが、有能すぎる耶利のおかげで影が薄くなったうえ、離脱したために存在自体忘れそうになってしまいました。合流後も英章(と臥信)が目立ちすぎて、項梁の存在感はあまりなかったです。すべてが終わった後の彼が気になります。項梁は軍人でありながら、民に近いところにいる人だと思いました。それに対して、李斎はあくまでも軍人でした。

 

■■ おわり

 人間関係という点で見ていくと、「戴を取り戻す」という目的のために繋がった絆の深さや、麾下たちの強い忠誠心は至る所で感じました。一方で、友人関係というのはあまりなかったような気がします。

 李斎と朽桟、去思と酆都などは強い友情で結ばれていた思います。あと、霜元と友尚も気が合ってそう。友人として描かれているのは、友尚と恵棟、李斎と花影くらいでしょうか。正頼、英章、臥信ら驍宗の麾下たちの関係が好きです。

 園糸が項梁に抱く感情は恋愛感情とはちょっと違うような気がします。そもそもあの世界にそういう感情が存在するのかも不明ですが。

 驍宗が救出されてから三か月後に阿選は驍宗に討たれます。阿選が簒奪者であることがはっきりとした後、阿選側の者たちはどうしていたのでしょうか。ただ、物語のラストまで生き残っていた人たちには生きていてほしいと思います。

 

 ストーリー的には一段落着いた感じでした。今作だけでなくシリーズ全体としても、気になるところや謎が残っているので、そのあたりは回収して完結してほしいと願います。そして短編はいつ発売されるのでしょう…。と思って公式サイトを見たら、今月の12日に短編集の一話プレゼントが漸く届くそうです。来年には短編集、発売されそうですね。よかった。

 

 いつも以上にだらだらと長かった気がしますが、お付き合い頂いた方、お疲れさまでした。そして、本当にありがとうございました。