びんのなか

想い出話や感想文など。読書メモが多め。ネタバレだらけです。

オズへつづく道

 オズシリーズ5作目。これも当初翻訳を割愛されてたらしいです。理由はオズシリーズ以外のボームの作品からの登場人物が出ているから。あと、あまり人気がなかったから…らしいです。

オズへつづく道 (ハヤカワ文庫NV)

オズへつづく道 (ハヤカワ文庫NV)

 

 

ーあらすじー

 ドロシー(とトト)はモジャモジャ頭でボロボロの服を着た男=モジャボロに道を尋ねられ、案内しようとします。しかし、どういうわけか道に迷ってしまい、途中で出会ったボタン・ブライトという少年も連れて、色々な国を通りながらオズを目指します(オズへたどり着けば帰れるから)。

1.キツネの国へ。オズマの誕生日パーティーが開かれることを知る。ボタン・ブライトの頭がキツネになる。

2.キツネの国を出たあと虹の娘ポリクロームも同行者となる。

3.ロバの国へ。モジャボロの頭がロバになる。

4.ロバの国を出たあとミュージッカーに出会う。

5.スクードラーに捕まりスープにされかけ、逃げる。

6.<死の砂漠>に到着。モジャボロの知り合い(ジョニー・スグヤール)にサンドボードを作ってもらい砂漠を越えてオズの国(ウィンキーの国)へ。<真実の池>でモジャボロとボタン・ブライトの頭が元通りになる。

 なんとかオズの国へたどり着いた一行は、ドロシー達を迎えに来たチクタクとビリーナに会います。そして、ブリキの木こりの住むウィンキーの城で1泊してからエメラルドの都へ向かうのでした。途中でジャックを訪ね、更に馬車を引いて迎えに来た臆病ライオンと腹ぺこタイガーと合流します。

 エメラルドの都へ着いたドロシー達を懐かしい面々が大歓迎します。ドロシーは「王女」として誕生パーティーの招待客をオズマの代わりにもてなすのです(オズマは準備で忙しいから)。

 晩餐会、祝賀会と大いに盛り上がった後、<魔法使い>の作ったシャボン玉にサンタクロースが魔法をかけて、招待客たちはそれぞれの場所に帰ります。ドロシーとトトは<魔法のベルト>で帰るのでした。

 

ー登場人物ー(多いので適当に割愛してます;)

ドロシー:主人公。今回自然災害の力以外でおとぎの国へやって来たと思っていたら、オズマが呼び寄せていたらしい。オズの国では王女様。

トト:ドロシーのペット。相変わらずおとぎの国へ来ても喋れない。吠えたり飛び掛かろうとするたびにドロシーに叱られている。

モジャボロ:<愛の磁石(ラヴ・マグネット)>の力で、モジャボロのことをみんな好きになってくれる。最初はもらったものだと言っていたが、実は盗んだものであった。オズマによって手放すことを決め、今後誠実に生きることを約束してオズの国へ住むことが許される。

ボタン・ブライト:とても可愛らしい容姿の男の子。口癖は「わかんない」。ほとんどの質問に対して、この返答。ほぼ会話は成立しない。

ポリクローム:虹の娘。大変美しい女の子。よく踊っている。虹の橋から落っこちたらしい。露のしずくか霧のケーキしか食べない。

オズマ:オズの絶対的支配者。ドロシーの親友。誰よりも美しい姿と心を持っている。

ビリーナ:勝気なメンドリ。10羽のヒヨコをかえした。名前はみんなドロシー(!!)

チクタク:ゼンマイ仕掛けのロボット。心はないがとても頼りになる。

ジャック:久し振りに登場のカボチャ人間。頭が熟れすぎてダメになるたびにオズマに作り直してもらっている。ダメになった頭はそれぞれ墓を作って埋めている。ちょっと頭が良くなった。

ブリキの木こり(ニック・チョッパー):心優しいウィンキーの国の皇帝。ブリキに強いこだわりを持っている。

かかし:知恵者の藁人間。おおらかな性格。オズマの誕生日に合わせてマンチキンの国で藁を新調し、顔を書き直してもらった。

臆病ライオンと腹ぺこタイガー:腹ぺこタイガーのせいで、臆病ライオンの影が余計に薄くなったような…。

魔法使い:オズ。手品でみんなを楽しませてくれる。祝賀会の司会者。

グリンダ:南に住む<よい魔女>。美しく強い力を持っている。

北の魔女:よい魔女。ドロシーが初めに出会った魔女で、旅の道標を示してくれた重要人物なのに扱いが…。名前もいまだに不明。でも存在を忘れられてなくてよかった。

サンタクロース:ゲストの1人。トナカイは留守番らしい。もっともおとぎの国にふさわしい人物。

 

ーメモー

☆<愛の磁石(ラヴ・マグネット)>

 生きとし生けるものみんなが所持者のことを好きになる。モジャボロが手放した後はエメラルドの都の門に掛けられている。

☆スクードラー

 裏表に顔がついていて、両面とも正面となっている。自分の首を投げて攻撃してくる。

 

ー感想ー

 前作の「オズと不思議な地下の国」と今作「オズへつづく道」はどちらかというと番外編的な印象でした。今回あまり楽しめなかったのは、物語がやや単調だったこともありますが、一緒に旅する仲間が微妙だったのもあります。ポリクロームはともかく、モジャボロとボタン・ブライトがちょっと苦手だったので…。

 モジャボロは楽して人の好意を得ようとしていました。オズマから「磁石を盗んで悪いことをしたと思っているか」と問われた時、「盗んでよかった」と答えます。理由は結果的にドロシー達と出会い、オズに来ることもできたから。…いや、盗んだこと自体が問題だから。いちおう盗んだ相手のむすめは幸せになったらしいが、そういうことじゃない。自分本位の理屈を平然と並べるあたりが、強かに感じられてどうも好きになれませんでした。

 ボタン・ブライトは可愛らしい設定だったわけですが、なんでも「わかんない」と答えるので、イライラしました。幼くてたよりないイメージなんだろうけど、私にはそれが可愛らしさには結びつきませんでした。彼の正体(?)はよく分かりませんでしたが、サンタクロースとオズは分かったみたいです。そのうち判明する日が来るのでしょうか。

 まあ、モジャボロもボタン・ブライトもおとぎの国にふさわしいキャラではあったと思います。前作で登場したゼブに比べてだいぶ現実離れしていたし。ポリクロームはかわいかったです。たぶんオズの女の子キャラでは今のところ一番かわいいと思います。ドロシーもオズマも性格的に結構たくましいため、「かわいい」とはちょっと違う気がする。

 終盤、オズの国に着いてからはお馴染みの面々が登場して楽しかったのですが、ちょっと出番が少なかったのが残念でした。それでもおそらく今までのキャラクターがほぼ全員登場していたのは嬉しかったです。また、詳しくは知りませんが他作品の登場人物(サンタクロースまで!)がゲスト出演していたこともあって、お祭り的作品だと言えるのかもしれません。