びんのなか

想い出話や感想文など。読書メモが多め。ネタバレだらけです。

オズの魔法使い

 ものすごく有名なファンタジー作品。ナルニアの映画を見ていたら、昔見たオズの映画を思い出したので見てみました。ミュージカル仕立てのじゃなくてディズニー版のやつです。子どもの頃初めて見た時はめちゃくちゃ怖かったです。ファンタジーというよりはホラー。車輪人間に追いかけまわされるところと、首のコレクションが叫ぶシーンは今見ても怖かった。あまり覚えてなかったけど、冒頭部分からホラーっぽい感じでした。子供向けの映画とは思えない…。あとオズマ姫がかわいかったです。

 

 オズシリーズはハヤカワ文庫から出版されたものを全巻読んだはずなんですが、あまりにも前すぎて全然内容覚えていません。映画見ても、登場人物や設定は確かこんな感じだったけどなーくらいしか。そんなわけで、読み直してみることにしました。

 

 まず1作目の「オズの魔法使い」。すごく有名。きちんとしたストーリーを知らなくても登場人物やざっくりとしたあらすじくらいなら、大抵の人は知っているのではないでしょうか。とにかくネタの宝庫だと思います。

 

ーあらすじ(今更ですが;)ー

 カンサスにヘンリーおじさんとエムおばさんと暮らしていたドロシー(みなしごだったらしい)は犬のトトとともに、竜巻で家ごと知らない世界へ飛ばされます。そして、家は東の悪い魔女の上に着地し、魔女は死んでしまいます。そこにいた北の良い魔女に、家に帰るにはエメラルドの都に住んでいる「大魔法使いのオズ」に頼むしかないと言われます。ドロシーは悪い魔女の履いていた<銀の靴>を譲り受け、トトとともに黄色いレンガの道を辿ってエメラルドの都へ向かうのでした。

 旅の途中で脳みそ(知恵)が欲しいかかし、心臓(こころ)が欲しいブリキの木こり、勇気が欲しい臆病なライオンと出会います。彼らもまたオズに会って願いをかなえてもらおうとドロシーに同行します。

 エメラルドの都へたどり着いたドロシー達でしたが、オズは西の悪い魔女をやっつけなければ願いは叶えないと言います。なんとか西の魔女を消すことに成功したドロシー達は、今度こそオズに約束を守るように迫ります。ところが、オズは実はドロシーと同じアメリカから来たただの人間でした。そして、あろうことかオズは一人で気球に乗って(おそらく)帰還してしまいます(←故意にドロシーを置いて行ったわけではない)。

 絶望してしまったドロシーは、南の良い魔女グリンダに会ってみてはどうかと助言され、グリンダのもとへと向かいます。グリンダはドロシーの履いている銀の靴は魔法の靴で、この靴を使えばすぐにでも故郷へ帰ることができると言いました。そして、ドロシーは銀の靴の魔法で故郷へ無事に帰ったのでした。

 

ー登場人物ー

ドロシー:主人公。しっかり者の優しい女の子。わりと現実的な性格。はっきりと自分の意見を言う。騙されたと知っても許すことができる広い心の持ち主。

トト:ドロシーの大切な友達(ペットに非ず)。結構自由気ままな性格で、こいつのせいでドロシーがトラブルに巻き込まれてるんじゃ…と思うこともしばしば。

かかし:脳みそを熱望している。自分には知恵がないと思い込んでいるが、一番思慮深い。のんき。藁でできているので火に弱い。

ブリキの木こり:かかし以上にミステリアス(でツッコミどころ満載)な生命体。元は人間。身体のパーツを切り落とされるたびにそのパーツをブリキで作り直してもらい、最後には全身ブリキになったらしい…。深く考えてはいけない。こころを欲しているが、繊細で心優しい。錆びるので水に弱い。なのによく泣く。元恋人の話やブリキ職人のことやら色々気になるキャラクター。

臆病ライオン:かかしや木こりに比べたら、普通だと思う。欲しいものも現実的に手に入るものだし。自分では臆病だと思っているけど勇敢。弱点は特にない…はず。かかしや木こりのような非生物ではないのが弱点か?

東の魔女:死体となって登場したため詳細不明。木こりをブリキ人間にした原因。<銀の靴>の元所持者。

北の魔女:おばあさん。なんかおおらかそう。グリンダと違って名前はない。あまり強い魔力はないらしい。

西の魔女:ウィンキー(西に住んでいる人たち)を奴隷としてこき使っている。凶悪な部下を持っていたが、ドロシー達に殺害される。<空とぶサル>を呼び出す<金のふちなし帽>の所持者。水が弱点。

南の魔女(グリンダ):優しくて聡明な美しい魔女。見た目よりかなり高齢らしい。たぶん一番魔力が強い。

オズ:普通の人間。ペテン師。オズの国を治めていた。きちんと「国」を整備していたことから、政治家としてはたぶん有能。根はいい人。

野ネズミの女王:旅の途中で助けたお礼に、いつでも呼び出せる笛をくれた。何かあればネズミたちに手伝わせる。

空とぶサル:ボスザルの祖父が北のお姫さまゲイエレット(魔女?)を怒らせたために、<金のふちなし帽>で呼び出した相手の命令を必ず3回実行しなければならなくなった。グリンダにより自由の身となる。

 

ーその他ー

オズの国:砂漠で囲まれた世界。エメラルドの都を中心に、東西南北それぞれに国がある。

黄色いレンガの道:エメラルドの都へと導く。<悪い魔女>の城とエメラルドの都の間には道がないとのこと。…??東から旅立ったはずだが、西だけレンガの道がないのだろうか?

銀の靴:魔法の靴。色々な力を持っているらしい。カンサスに帰るのに使用されただけのため、詳細は不明。砂漠を越える途中で脱げてしまった。

マンチキン:東に住む人たち。東の色→青。

ウィンキー:西に住む人たち。西の色→黄。

カドリング:南に住む人たち。南の色→赤。

セトモノの国:すべてが陶器でできている。当然住んでいる生き物たちもすべて陶器。しょっちゅう割れたりヒビが入ったりするので、その都度修理が必要。外の世界へ出るとただの陶器の人形となるらしい。

☆仲間たちのその後

かかし・・・オズの指名により「エメラルドの都」の王となる。

木こり・・・ウィンキーの国で王となる。

ライオン・・・南の国の森で動物たちの王となる。

 

ー感想ー

 懐かしかったです。200ページちょっとで、すぐに読めました。話がテンポよく進むので読みやすいです。

 オズはあまり教訓めいたことは書かれてなくて、気楽に読める作品だと思います。敢えて言えば「友情」と「誰かが帰りを待ってくれている場所」の大切さ…でしょうか。ドロシーと仲間たちはお互いをすごく大切にしています。義理堅く、絶対に友達を見捨てるようなことはしません。自分の主張は曲げないけど、相手の意志も尊重し合える関係。こういう友達っていいですね。それから、ドロシーは故郷に帰るわけですが、仲間たちもそれぞれ「帰る場所」を冒険の中で見つけます。そして冒険が終わった後にはそれぞれの場所へ帰るのです。人にとって帰れる場所があるということは、すごく安心できることなんだと思います。

 イギリスなどの古典的ファンタジーとはちょっと雰囲気が違っていて、神秘的というか、幻想的な美しさはあまり感じられませんでした。どちらかというと、はっきりとした線で描かれた鮮やかな色合いの世界といった感じ。あと、オズの世界観ってすごく自由だと思いました。キャラクターも自由で楽しいです。みんなあまり深く悩まない。

 ナルニア読んだ時も思いましたが、普通に殺害シーンがあってびっくりしました。さすがにドロシーは殺したりしませんが。頭を切り落としたり、さらっと書いてありますが、えぐいシーンが結構ありました。まあ、童話って残酷描写多いですしね。最近の自重しすぎた感のある描写に慣れすぎなんです、きっと。昔読んだ時には何も思わなかったはずなので。