だいぶ前に1巻だけ買っていて、最近読み直したら続きが気になったので、あらためて最終巻まで買いました。全4巻です。
前にもちょっと書きましたが、女子高の寮で男の子が女の子として学生生活を送るラブコメです。過去のトラウマから男性恐怖症となった主人公の女の子(雛)は、寮で同室となった完璧美少女楓に憧れるが、実は楓は雛のトラウマの原因となった男の子で―というお話です。
設定的に特にオリジナリティがあるというわけでもなく、キャラ達もちょっと少女漫画らしく現実離れしているものの、その分気楽に読めました。学園ものだけど、おとぎ話っぽい雰囲気の漫画です。ありえないシチュエーションの連続にとにかく笑いました。
私はこの漫画家さんの作品はいくつか持っているのですが、どれも読みやすくて読後感も良いので、読んでいてストレスがないです。終わり方も、もうちょっと続きが読みたいなと思える、ほど良い余韻があるので、ちょうどいい感じです。あと、セリフの言い回しや客観的なつっこみが面白い。絵もかわいくて好きです。
今回も4巻というほど良い長さだったので、だれることなく楽しめました。サブキャラの話に脱線することなく、最後までメイン2人の話に終始していたのも良かったかなと思います。恋のライバルみたいなのもいなかったし。2人のすれ違いっぷりが面白かったです。そして2人がかわいかった。
ちょっとだけキャラクターについての感想を。
■七瀬雛(主人公)
過去に自分が書いた小説を楓に破り捨てられたことがトラウマとなり、男性恐怖症となった。そのため、全寮制のお嬢様学校(清歌女学院)へ入学した。
思い込みが激しくて目的のためにまっすぐ道を進んでいく女の子。いわゆる「いい子」な主人公ではないけれど、何事にも全力で取り組むところや、反省できるところは好感が持てる。恋愛に関しても迷いがないのがよかった。笑顔がかわいい。
■雪野楓(澤菱楓)
もう一人の主人公。役者を目指していたが、母親の死後、父親の実家である澤菱家(ものすごい名家)に引き取られ後継ぎとして生きることを強要されていた。祖父から婚約者の話を持ち出されたため、いとこの優里を頼った結果、全寮制の女子高で生活することに。
品行方正、文武両道、才色兼備と、非の打ちどころのない美少女…を演じている。基本的にとてもまじめな性格。
こちらも目的のためには全力で取り組むタイプ。自分の気持ちを優先して一人二役を演じたり、色々自分で自分を窮地に追い込む姿が面白かった。
■天海優里
楓のいとこで、 実家は澤菱家の分家。清歌女学院の理事長の娘。雛と楓の状況を把握しており、楓のことを面白がりながら応援している。策士。
冷たいわけではないが、情に流されることがなさそう。社長や政治家に向いてそうなタイプだと思う。
■澤菱樹
楓のはとこ。清歌女学院の姉妹校である男子校(清陵高等学院)に通っている。自分が後継者になると思っていたところ、突然楓が現れたため、ものすごく憎んでいる。こちらも思い込みが激しいタイプで、女のふりをいていた楓に一目惚れしていた。その後、楓の正体に気付くものの、結局黙ってくれることに。雛とはしょっちゅう喧嘩しているが、結構気が合っている模様。単純でまじめ。
2人の障害となる役柄だが、まったくそんな感じではなく。空回ることが多くて憎めないキャラだった。彼は彼で自分のやりたいことが見つかったのかな?
基本、メインキャラと呼べるのはこの4人だけ。あと、清陵の生徒会長(…だっけ?)も名前は付いているものの、そんなに登場しなかったです。裏設定として優里の婚約者らしいです。
楓のおじいさんもほとんど登場せず、特に楓との決別シーンもなかったです。本当に雛と楓の話以外、清々しく削ぎ落した感じでした。
純粋なラブコメというジャンルを久し振りに読んだ気がします。主人公2人が応援したくなる感じのキャラだったのがよかったです。